「今、転職や起業を考えている」というARIA世代は、38%(編集部調べ※)に上ります。安定も、それなりの地位もあるけれど、それでも新しい一歩を踏み出す人は、何をてんびんに掛けて、何が決め手で起業の道を選んだのか――。ARIA世代の起業家に包み隠さず語ってもらいます。今、最も注目を集めるスタートアップの一つで創業CEOを務める加藤史子さんの濃縮3回シリーズ。第2回は、起業までの準備と、起業後の苦労などについて聞きました。
(1)「10億円は出せない」でリクルートを辞めた
(2)輝かしい経歴の人をありがたく採用した末路  ←今回はココ
(3)スタートアップ起業に向くのは「発燃性の人」

Q 起業する時に頼りにした人、情報、相談先は?

―― 起業には分からないことや不安がつきものだと思いますが、頼りにした人や情報源は?

加藤史子さん(以下、敬称略) リクルートの退職に当たっては、マインドシェア代表取締役の今井祥雅さんや、セレブレイン代表の高城幸司さんなど、元リクルート社員で独立されている方々にアドバイスを求めました。

訪日外国人旅行者(インバウンド)をターゲットにしたマッチングビジネスを展開するWAmazing(ワメイジング)の加藤史子CEO

 起業って、分からないことが多過ぎますよね。先輩や投資家などに相談したり、カンファレンスに参加したりする前に、本やブログで基本知識を得ておくといいと思います。そうした方が、より身につくと思います。

 私の場合は、財務や資本政策の知識を強化する必要があると思い、磯崎哲也さんの『起業のファイナンス増補改訂版』(日本実業出版社)を繰り返し読みました。易しく書いてはありますが、読んでもよく分からないことや関連用語は、ネットで検索してしっかり理解しました。本は、全体像を体系的に学ぶのに適しているので、今でも時々目を通します。

 他には、起業家や投資家が書くブログを数多く読みました。パネルディスカッション型のベンチャーカンファレンスのセッションも勉強になりました。その場で聴いて終わりにせずに、議事録を取っておいて後日読み返すことで、理解を深めました。

Q 起業してみて、最も苦労したことは?

―― カネとヒトを求めて起業したわけですが、想像以上に苦労したことは?

加藤 想像以上に苦労したのは人の採用です。創業当初は、学歴も、在籍した企業も経歴も、本当に輝かしい人を見つけてありがたく入ってもらったのですが、「自分の裁量権はどの程度か」「(部下となる)人をどれぐらいつけてもらえるか」など、条件や要求ばかりが多くて閉口しました。経歴は本当に立派だったのですが、半年もたたないうちに離職していきました。そうした失敗を経て、スキル重視よりもまず、ビジョンやカルチャーフィットを最重視するようになりました。