「今、転職や起業を考えている」というARIA世代は、38%(編集部調べ※)に上ります。安定も、それなりの地位もあるけれど、それでも新しい一歩を踏み出す人は、何をてんびんに掛けて、何が決め手で起業の道を選んだのか――。ARIA世代の起業家に包み隠さず語ってもらいます。最初に登場するのは加藤史子さん、濃縮3回シリーズでお届けします。第1回は、新卒で入って18年間在籍した会社を40歳の時に思い切って飛び出した背景です。

(1)「10億円は難しい」からリクルートを辞めた ←今回はココ
(2)輝かしい経歴の人をありがたく採用した末路
(3)スタートアップ起業に向くのは「発燃性の人」

起業を決断するまで、1年以上迷い続けた

 加藤史子さんは起業前、リクルートで「じゃらんnet」や「ホットペッパーグルメ」などの新規事業を開発。その後も、観光で地域を活性する「じゃらんリサーチセンター」で、若者をスキー場にフリーミアム(基本無料)のビジネスモデルで誘う「雪マジ!19」を立ち上げるなど、活躍していました。

 2016年、40歳になった加藤さんは、「地方の観光産業を元気にしたい」との思いからWAmazing(ワメイジング)を起業します。WAmazingが展開するのは、訪日外国人旅行者(インバウンド)をターゲットにしたビジネス。外国人旅行者は事前に同社のアプリをダウンロードし、旅程や個人情報を登録すると、到着した日本の空港内に設置してある専用機で一定量無料のSIMカードを入手できます。

WAmazingの代表取締役社長CEOの加藤史子さん。「日本中を楽しみ尽くす、Amazingな人生に」をビジョンに、インバウンドと地域の観光をつなぐビジネスを展開している。

 旅行者はアプリを利用して、国内1万件以上の宿泊施設やアクティビティー、交通機関などのサービスの予約・購入が可能。WAmazingは旅行者がアプリから予約・決済したサービスの手数料と、追加のデータ通信料を主な収入源とします。社会からの注目度は高く、起業後すぐに資本金10億円を集め、創業から2年半を経過した現在、さらに10億円を超える資金調達を見込んでいるといいます。

 大企業の中で次々と新規事業を成功させ、ビジネスキャリアを積み重ねていた加藤さんが、なぜ起業に踏み切り、起業に際して何に1年以上悩んだのか。起業にまつわる質問をぶつけてみました。

Q なぜ、起業したのですか?

―― 新卒で入った会社で40歳近くまで勤め上げ、新規事業もいろいろと経験し、国や県の有識者委員も務め、充実したキャリアに見えますが、会社を辞めたくなる理由があったのでしょうか?