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オリンピアンの栄光と挫折

陣内貴美子 現役時代に笑わなかった理由、五輪への思い

(上)東京五輪でメダル1つに終わったバドミントン。バルセロナ五輪で入賞を逃した陣内さんが思うことは?


オリンピックというひのき舞台で輝いたスポーツ界のヒロインたちの「その後」は、意外に知られていません。競技者人生がカセットテープのA面だとすれば、引退後の人生はB面。私たちの記憶に残るオリンピアンたちの栄光と挫折に迫ります。今回は「news every.」(日テレ系)での「木原さーん、そらジロー!」でおなじみの陣内貴美子さん。バルセロナ五輪を前に、自分に問うた4つのこととは? ジャーナリストの吉井妙子さんが迫ります。

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(下)不妊治療の苦悩…今は、笑顔に勝る化粧なし

メダルへの期待が高かったバドミントンだったが…

―― 東京五輪の現場取材お疲れさまでした。出身競技のバドミントンは厳しい結果に終わってしまいましたね。

陣内貴美子(以下、陣内) 負けた選手にミックスゾーン(取材エリア)でマイクを向けるのはやはりつらかったです。特に1次リーグで敗退した桃田賢斗選手にインタビューするときは、声が上ずってしまいました。

 バドミントンは五輪前から期待値が高かった。2019年の世界選手権では桃田選手、永原和可那選手・松本麻佑選手の「ナガマツ」ペアが金メダル、奥原希望選手、福島由紀選手・広田彩花選手の「フクヒロ」ペアなどが銀メダルを獲得するなど、全種目でメダルを取っていましたし、世界ランキングを見ても男子1位の桃田選手、女子ダブルスの「フクヒロ」ペアが1位、2位が「ナガマツ」ペアと、日本人選手が軒並みに上位にランクインしていました。

 そんな実績から、五輪前に「全種目でメダルが取れる」と注目され続けていたんです。私も取材されることがあり、「何もアクシデントがなければ」という条件付きで、メダルの可能性は高いと発言してきました。

陣内貴美子さん
陣内貴美子さん
1964年、熊本県生まれ。16歳で日本代表に選ばれて以降、世界を舞台に活躍。91年の全英選手権女子ダブルスで銀メダル。バルセロナ五輪に出場し、93年に引退。引退後はスポーツキャスターとしてテレビやラジオにも出演。現在は日本テレビ「news every.」のキャスターを務める

取材しながら抱えていた一抹の不安

 ただ、そう言いつつも心の中では不安はずっとありました。残念な結果になった要因はいくつもありますが、最大の原因はコロナ禍で2019年の世界選手権を最後に選手たちは国際大会に出場できなかったこと。もちろん、ほかの国も同じ状況にありますが、ライバルの中国などはその間、日本を徹底して研究していた。その一方で日本は、五輪が開催されるのかどうかという不安をダイレクトに受けていたし、ましてやコロナ禍で多くの人が大変な状況の中にいるのに、自分たちが華やかな舞台に立っていいのかという葛藤の中にいたと思います。おまけにその心の内を誰にも言えない……。

 そんな選手の苦しみをはっきり認識したのが、奥原選手の壮行会でのシーンでした。所属チームがオンラインで壮行会を開いたのですが、奥原選手は「私はこんなに応援していただいているのか……」と、初めて気づいたようで大泣きしていました。裏を返せばコロナ禍の中、どれだけ孤独と戦い、葛藤してきたかということです。五輪の舞台に立つまで心のエネルギーを消費してしまっている感じがしましたね。

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