ガーナに捨てられた先進国の電子ゴミ⇒アート作品に

 「電子ゴミを使ってアート作品を作り、その売り上げを彼らに還元できないか。電子ゴミを作品にすれば、先進国の人々がガーナの現状をリアルに知ることができるし、ゴミも減る。一石二鳥だ」と。

アグボグブロシーにつくった私設学校の前で。ここは、誰でも無償で通うことができる。30人の子どもたちを前にした最初の授業では、長坂(写真後列中央)の仲間・オラクルが『幸せなら手をたたこう』を教え、共に歌った
アグボグブロシーにつくった私設学校の前で。ここは、誰でも無償で通うことができる。30人の子どもたちを前にした最初の授業では、長坂(写真後列中央)の仲間・オラクルが『幸せなら手をたたこう』を教え、共に歌った

 ここから、長坂の快進撃が始まった。有害物質ガスマスクを届けるために何度か現地を訪れ、そのたびに電子機器などの廃材を日本に持ち帰り、ゴミを使ったアート作品を作り続けた。18年にはたった1日だが「美術は人を救うためにある、ガーナのスラム街を訪れて」と題した個展を開催。そこで、ガーナの子どもをモチーフに描いた作品に1500万円の値が付いた。

 「なぜ、ゴミを使った作品にこれほどの高値が付いたのか。寝ずに一晩中考えた。それでも答えが分からず、もしかすると『夢を見ているのか』とも考えたが、これはちゃんとした現実だ。考えに考え抜いて、この“価格のからくり”が分かった」

 そして、すべて自らの行動から導き出した概念「サステナブル・キャピタリズム」にたどり着く。この概念に基づいて行動することで、長坂はこれまでにアート作品で総額10億円以上を売り上げる美術家になった。そして、自分の取り分は作品の売り上げの5%と決め、大半をアグボグブロシーの人々へと還元する活動を続けている。長坂の説く持続可能な資本主義とは一体どんなものなのだろうか?

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(下)スラム街を救う気鋭の美術家 持続可能な資本主義とは?

■No.1ホスト、起業後に倒産 、「せどり」で稼ぐ波瀾万丈な人生
■ガーナのゴミを10億円に変えるカラクリ ーー 長坂流「相対性理論」
■「行動し続けること」で導き出した、持続可能な資本主義論
■スマートシティを作るために考えたSPAC(特別買収目的会社)でのロンドン市場への上場

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発行:日経BP 定価:1870円(税込み)

構成/日経xwoman編集部 写真提供/MAGO CREATION