歌舞伎町のNo.1ホスト⇒アパレルで起業、倒産⇒路上画家に⇒ガーナの“電子機器の墓場”で「資本主義の闇」を目の当たりにする――ここから美術家・長坂真護さんの快進撃が始まります。スラム街初の私設学校、美術館、そしてリサイクル工場をつくり、実体験から導き出した「持続可能な資本主義」とは? 上野の森美術館で展覧会が開催(11月6日まで)されるなど注目を集める長坂さんの新刊『サステナブル・キャピタリズム 資本主義の「先」を見る』からご紹介します。
(上)ガーナのゴミを10億円に!スラムを変える注目の美術家
(下)スラム街を救う気鋭の美術家 持続可能な資本主義とは? ←今回はココ
「電子廃棄物の墓場」でひらめいた
2017年、世界最大の電子廃棄物処理場であり「電子廃棄物の墓場」といわれるガーナのアグボグブロシーを訪れた美術家・長坂真護はこうひらめいた。「電子ゴミを使ってアート作品を作り、その売り上げを地域で暮らす住民に還元できないか。電子ゴミを作品にすれば、先進国の人々がガーナの現状をリアルに知ることができるし、ゴミも減る。一石二鳥だ」
パリで「サステナブル」の概念を知る
その2年前の15年12月、長坂は前月に同時多発テロが起きたパリにいた。パリで出会ったのが、サステナブル(持続可能)なビジネスを手掛けているアシュリーという女性だ。アシュリーはロサンゼルスでオーガニック化粧品を製造・販売していた。「オーガニック化粧品がたくさん売れればそれを栽培する有機農園が増え、すると汚染された土地が減り、地球がよみがえるという発想でビジネスを行っている」と長坂に語った。
それまでの長坂は、ビジネスと環境保全はトレードオフ(相反)の関係だと考えていた。「環境に配慮しながらマネタイズ(収益化)できるのがサステナブルと知り、ビジネスの鉱脈を見つけた気分になった」
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