「そんなの、できてたら真っ先に報告してます。でも、自分を頼らなければ生きていけない存在には出会った」

 「え! ひも!?」

 「猫たい!」

 「猫か!」

 ここ一年ほど、疲労がたまって心が痩せてきたな、と思ったときは深夜営業の猫カフェに通っていた。私が行く時間帯は猫のほうも疲労していてぜんぜん構ってくれないし、下手にかまおうとすると威嚇されたりひっかかれたりもするが、それでも温かくてふわふわした生き物が傍らにいるだけで気持ちは潤った。その店は保護猫カフェで譲渡もしており、従業猫に結構入れ替わりがある。

 「前に『一緒に暮らしたいな』って思った猫がいたんだけど、次行ったらいなくなっちゃってて、もし次にピンとくる猫がいたら、今度こそ引き取ろうと思って。でも今の働き方だと譲渡してもらえないっぽくて、今は無駄にお迎えの準備だけはできてる」

 「いいなあ猫。私も犬飼おうかなあ」

 「真緒んち、むかしシベリアンハスキー飼っとったよね?」

 「あれ、限りなくシベリアンハスキーに見えるけどたぶん雑種。拾った犬やし、しっぽ丸まっとったけん」

 「私も本当は猫を拾いたいんけど、なかなか落ちとらん」

 「捨て動物がおらんのは良いことたい」

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