ARIA世代はお手入れや生活習慣による肌の状態に、人による差が出やすい年齢。でも「肌はいつからでもキレイになれる」と皮膚科の先生は話します。肌にいい生活習慣や食べ方は? スキンケアの研究はどこまで進んでる? 体の内側からのケア、化粧品、治療、何が効果的でどう使い分ければいい? などの疑問に答えます。

 大手メーカーがしのぎを削って開発する、アンチエイジング効果のある高級スキンケア化粧品。どんな研究成果が盛り込まれているのでしょうか。ARIA編集部がポーラと花王の開発担当を直撃。現在主流の研究テーマや、今後スキンケア化粧品に応用されそうな最新技術について話を聞きました。

研究はどんどん肌の奥へ。「悪者」だった太陽光にも活路

お話を聞いた人

―― 肌の研究で、いま業界的に盛り上がっているのはどんな分野ですか。

後藤悠さん(以下、敬称略) 近年、肌の研究はどんどん肌の奥のほうに向かっています。以前は角層(角質層)へのアプローチが主で、「うるおいのある肌のために角層のバリア機能を高めるには」ということが研究テーマになっていましたが、そのあと角層の奥の真皮、そして今は肌よりもさらに奥の皮下組織へと研究が進んでいます。

PIXTA
PIXTA

 皮下組織で注目されるのが「RC(retinacula cutis)」という、肌を支える極太の線維束で、たるみのない立体的な顔立ちの鍵となる部分です。2015年の化粧品技術者の国際学会で、肌のたるみとRCの関係を初めて発表しました。マンションに例えるとRCは地下くい。マンション(肌)が重力に負けて倒れないように持ち上げる役割を果たしています。

 そして、RC線維をつなぎ合わせてRCを太く、強固にする役割を持つタンパク質が「MFAP4」というもので、これも最近発見されました。MFAP4はくいの1本1本をより太く強くするためのセメントのような役割を持っています。

ポーラ提供
ポーラ提供

―― 肌をたるませないためには、土台をしっかりさせるといい、ということですね。そのためにはどうすればいいのでしょうか?

後藤 老化を引き起こすとされていた太陽光の中に、肌によい影響を与える光「赤色光」が存在することが最近の研究で分かってきました。赤色光はMFAP4の産生力を1.3倍に向上させ、RCを強固にし、肌の立体感やハリ感をアップさせます。この研究結果は、2019年にイタリア・ミラノで開かれた化粧品技術者の国際学会で発表しました。

―― そんな効果のある光が! 赤色光の恩恵を受けるにはどうしたらいいのでしょうか。