Withコロナの日常では、人とのコミュニケーションも変わりました。自分と向き合う時間が増えた今、自らの感情を知り、上手にモチベーションを高めていくことが大切。ストレスや負の感情をどう整理し、柔らかい心を保っていけばいいのか。リモート環境でもできる感情マネジメントやチームメンバーの心理的安全性についても考えていきます。

 家にこもりがちの毎日の中で、気分転換と健康促進にスポーツをすればいいとは思っていても、まとまった時間を取るのも大変。ついついおっくうな気持ちになって、継続するのは大変なものです。ところが、ストレス解消やメンタルヘルスの目的なら、隙間時間のストレッチで十分らしいのです。その真相を聞きに、山野美容芸術短期大学の永松俊哉教授を訪ねました。

「忙しくて運動なんて…」という人のためのプログラム

―― 外出もままならない生活が続く中で、ストレスや感情のマネジメントが難しくなっています。メンタルヘルスに運動は効果があるのでしょうか。

永松俊哉さん(以下、敬称略) はい。効果は認められています。以前、明治安田生命厚生事業団体力医学研究所で、体を動かすことによる健康づくりについて研究していたのですが、2008年に40~50代の女性勤労者(営業職員や事務職員)を対象に、働く女性の健康づくり運動プログラムの研究を行いました。

 ところが、まずは運動をやってもらおうと社員たちに話すと、「忙しくてそんな時間はない!」とはっきり言われてしまったのです。

 バリバリ仕事をしている人たちです。家に帰れば主婦としての仕事がある人も多く、とても忙しい。休日に時間があれば寝たい、というのが彼女らの本音でした。厚生労働省が推奨する「適度な運動を30分、毎日やりましょう」と言ったって、わざわざジャージに着替えて運動するなんてとても継続するのは難しいですよね。

 しかし同時に、この年代の女性には更年期の問題が出てきます。ホットフラッシュやうまく眠れない、イライラするなど愁訴が出てくる。仕事のストレス以外にも不調をたくさん抱えているのです。

 この状況をどうやって解消するか、いろいろ調べた結果、1日10分くらいなら体を動かす時間を取ることができそうだと分かったので、5~10分程度で、ジャージに着替えなくてもできるものとして、就寝前のストレッチ運動プログラムを作りました。

―― 具体的にはどのような内容のプログラムだったのでしょうか。