令和に入って3年目。私たちの働き方が激変しつつあります。場所や時間の制約が薄れ、会社との関係も変わる。外的要因によって変化を強いられるのではなく、自らが働き方を選びにいく時代が到来しています。副業で活躍、移住して働く、独立する、ジョブ型雇用への転換……少し先の新しい働き方はどうなるのかを展望します。

 先の見えない新型コロナウイルスの感染拡大は、企業の事業環境に大きな影響を与えた。特に、会社員として20年、30年のキャリアを築いてきた人にとって、今後を見据えた働き方の選択肢はどう変わろうとしているのだろうか。

「業務委託」の拡大、コロナショック…会社員も「独立」が視野に

 「企業で経験を積んできた40代50代の人にとって今後、『独立』は大きな選択肢になってくるはずです」(上司力の強化やミドル世代のキャリア支援を手掛けるFeelWorks代表の前川孝雄さん)。会社員にとって独立や起業は、これまで自分とは無縁か、遠い将来の話だったかもしれないが、ここへ来ていくつかの流れが現れている。

 その1つは「業務委託」の拡大だ。電通は一部の正社員を業務委託契約に切り替える制度を2021年1月から始めると発表した。新しい制度の適用者は、電通を退職した上で、個人事業主として業務を受託することになる。電通のような社員の個人事業主化まではいかなくても、人事や経理などこれまで社内で行っていた中核業務も外部委託する企業は増えている。

 法制度面でも、21年4月から高年齢者雇用安定法が改正施行され、(高年齢者が希望すれば)70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入が企業の努力義務に加わる。「これまでの雇用という枠組み以外に就業確保の範囲が広がり、個人が業務委託で仕事を受けることも視野に入れなさいと法律で明記されたわけです」(前川さん)

 職務内容と報酬が明確な業務委託の広がりは、導入が議論されている「ジョブ型雇用」や「副業解禁」の動きとも呼応している。

 さらには、景気後退にコロナショックが重なり、40代50代への人員削減の圧力が高まっている。東京商工リサーチによると、2020年に早期・希望退職を募集した上場企業は90社(2020年12月7日時点)で、2年前の18年と比べると7.5倍に急増。リーマン・ショック直後の2009年に次ぐ水準となった。コロナショックの影響が長期化すれば、21年もさらに広範な企業で人員削減が進む可能性はある。

 「では、第2の職業人生を見据えて転職かといっても、40代50代の転職市場は厳しいのが現実です。公募転職では35歳を過ぎると5歳ごとに求人数が半減していきます。この年代で転職に成功するのはヘッドハントの対象となる経営人材や高度専門人材がほとんど。全体から見ればわずかでしょう」

 会社員としての先行きもグレー、転職も簡単にはいかない……。そんな状態で今後の仕事人生をどう設計すればいいのだろうか。