令和に入って3年目。私たちの働き方が激変しつつあります。場所や時間の制約が薄れ、会社との関係も変わる。外的要因によって変化を強いられるのではなく、自らが働き方を選びにいく時代が到来しています。副業で活躍、移住して働く、独立する、ジョブ型雇用への転換……少し先の新しい働き方はどうなるのかを展望します。

 「2020年、ダークホースのように人事業界を席巻したテーマがジョブ型雇用」と話すのは、リクルートワークス研究所主任研究員の中村天江さんだ。リクルートキャリアの人事担当者へのアンケート(2020年9月、1224人が回答)では、ジョブ型雇用を導入している企業の割合が12.3%。従業員規模が大きいほど導入率が高く、導入企業の約7割は「1年半以内にジョブ型雇用を導入した」と回答した。KDDI、日立製作所、資生堂、富士通、カゴメなど、大手企業も相次いでジョブ型の人事制度を拡大、もしくは導入すると表明している。

 欧米では主流のジョブ型雇用だが、長らく「終身雇用・年功序列」が当たり前だった国内企業にマッチするのだろうか。パーソル総合研究所・上席主任研究員の小林祐児さんは「『ジョブ型』のスローガンにあおられることなく、自分の立ち位置を冷静に見つめる機会にすることが大切です」と話す(「ジョブ型雇用で40~50代はどうなる?大手企業が採用」)。では、ARIA世代の実態は……? 「今まさに、会社がジョブ型へ移行中」という3人に、ホントのところを語ってもらった。

中村さんの資料を基に、編集部で一部改変
中村さんの資料を基に、編集部で一部改変
今回の参加者
里香さん(40代前半、電気機器メーカー、仮名)
ブランディング、デザインなどに携わる
郁美さん(40代後半、化学メーカー、仮名)
企画部門でマーケティングなどに携わる
瑶子さん(50代前半、電機メーカー、仮名)
品質を管理する部署の専門職

「毎週、社内の公募情報が送られてくる」

── お三方の会社は、2020年、2021年からジョブ型の人事制度を導入すると報道されています。現在はどのような状況ですか。

里香 私の会社では、既に幹部社員はジョブ型に移行していて、職務単位で「レベル」が決められています。全社員が移行するのは2021年からの予定です。社内公募制度は昔からありましたが、2020年の夏頃から自由に希望の異動先を選べるようになりました。毎週、社内の公募情報が送られてきますし、社内のイントラネットを使い、自分で探すことができます。

郁美 私の会社では2019年に「ジョブ型に移行する」という話が持ち上がり、2020年は準備期間、2021年から本格的に導入される予定です。今はまさに過渡期ですね。

── 2020年の準備期間ではどんなことがありましたか。

郁美 コロナ禍でどうなるかと思っていましたが、さまざまな施策が発表され、会社が変わり始めました。