令和に入って3年目。私たちの働き方が激変しつつあります。場所や時間の制約が薄れ、会社との関係も変わる。外的要因によって変化を強いられるのではなく、自らが働き方を選びにいく時代が到来しています。副業で活躍、移住して働く、独立する、ジョブ型雇用への転換……少し先の新しい働き方はどうなるのかを展望します。

 2020年4月の緊急事態宣言発令により、テレワークが一気に普及。仕事や暮らしの自由度が増した今、住む場所と働く場所の制約もなくなりつつある。現役世代で郊外に移住したという人の話も、そこかしこで聞くようになってきた。

 移住とはいかないまでも、環境を変えて仕事をし、仕事以外の時間を思い切り楽しむ「ワーケーション」にハマる人も増えているようだ。

 リコーのカスタマーファーストセンターに勤める高内正恵さん(55歳)もその一人。毎月1回はワーケーションを楽しんでいるという。

コアタイムがなくなり誰でもワーケーションができるリコー

 高内さんは、ワーケーション目的で「10月に北海道の浜中町・弟子屈町・釧路市に2週間、11月に島根県の隠岐郡に2週間、12月は北海道の斜里町と浜中町に2週間」訪れたという。移動時間や現地で過ごす時間に、有休や半休を充てることもあるそうだ。

 「有休を使うこともありますが、基本的には1カ月トータルの労働時間で考えてよいので、足りなければ勤務時間として認められる7時〜20時までの間の時間をプラスして埋め合わせます。もちろん間に休憩を挟まなければいけない規定はあるので、それは守りつつですが、無理なく所定の労働時間を満たすことができます」(高内さん)

 リコーは2020年10月に人事制度を変更し、コアタイムをなくした。「自律的に働ければ誰でもリモートワークができる」と、新しい働き方を導入している。

島根県隠岐郡海士町の図書館で、田園風景を眺めながらリモートワーク(写真提供/高内さん)
島根県隠岐郡海士町の図書館で、田園風景を眺めながらリモートワーク(写真提供/高内さん)