「副業元年」といわれた2018年からはや2年。企業がじわじわと副業解禁へかじを切っているものの、実際に副業を始めたARIA世代はそれほど多くはないようです。けれども「これからはARIA世代にこそ、副業が欠かせない」と専門家は話します。では、何から始めるべき? 本業と副業のバランスをどう取る? 思わぬ落とし穴は? 副業の最前線をリポートします。

副業容認企業はおよそ3割。じわじわと増加中

 リクルートキャリアが2018年9月に社員10人以上の企業の人事部、もしくはその他部署の管理職の正社員2271人を対象に行った調査によれば、副業を推進、もしくは容認している企業の割合は28.8%。2017年の調査に比べて5.9ポイント上昇した。調査を行ったリクルートキャリア事業開発室の狩野美鈴さんによると、「副業を容認する企業にその理由を聞くと、『特に禁止する理由がない』『社員の収入増につながる』に続き『人材育成・本人のスキル向上につながる』(本業の)『定着率の向上・継続雇用につながる』といった、本業にプラスがあると考える回答が上位です」。2019年にはメガバンクで初めてみずほフィナンシャルグループが副業容認の方針を出し、アサヒビールも勤続5年以上の社員の副業を認める制度を2020年1月から導入すると発表するなど、今後、企業の副業容認の動きは加速していきそうだ。

 副業に詳しい早稲田大学ビジネススクール教授の山田英夫さんは、「とはいえ、企業の約7割はいまだに副業に対してノーという姿勢。現時点では、企業が副業にメリットを見いだしていないということでしょう。副業を解禁する企業としてロート製薬、カゴメなどのオーナー系企業やベンチャーが目立つのは、トップダウンでないと人事施策の大きな変更は進められないからです。

 現状は、まだ副業のいわばフェーズ1。副業が日本に浸透するのはまだまだこれからだといえます。ただし、転職先に求める人事制度は何か? というある調査の回答では、『副業容認』と答えた人が1位だったといいます。さらに、同業他社に先んじて副業解禁に動けば、パブリシティー効果が見込めます。企業にとって『副業容認により、優秀な人材を確保できる可能性がある』と考える材料がそろってきました」という。

リクルートキャリアの「兼業・副業に対する個人の意識調査」(2019年)より。「副業・兼業を現在している、以前していた」と回答した799人に行ったアンケート結果で、3割以上の人が再認識したこととは? 次ページ以降で解説する
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都市部の副業人材と、地方の中小企業をウェブ上でマッチングさせるサービスに力を入れるスキルシフト。地方の中小企業が副業人材に求める業務スキルとは? 詳細は次ページ以降で解説する
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