政治分野での女性参画の遅れが課題になっている日本。一方米国では、次期副大統領に女性で初めてカマラ・ハリス氏が就任するなど、多様性を打ち出したバイデン政権に注目が集まっています。米国のこうした動きは日本にどのような影響をもたらすのでしょうか。米国政治に詳しい国際政治学者の三浦瑠麗さんに3回シリーズで聞きました。3回目は、米国と日本のジェンダー・ギャップに関する課題について解説してもらいます。

「女性=広報」という発想はもうやめてほしい

日経xwoman編集部(以下、――) 米大統領選をめぐる報道では「女性初」というフレーズが多く使われています。

三浦瑠麗さん(以下、三浦) 本来であれば、性別や人種にかかわらず、どんな実力があって、どんな政策を行う人なのかが最も重要なはず。ですが、今回の選挙戦では、実力そのものより「女性」「黒人」といった象徴性が前に出過ぎていた気もします。

 それでも米大統領や副大統領のように前例のないことであれば、「女性初」というフレーズを使ってもいいと思います。ただ、「女医」「女性社長」などという表現はもうやめたほうがいいのではないでしょうか。女性が医師や社長になることは、今やさほど珍しくないことです。名前だけでは性別が判断できないという思いから何気なく使っているかもしれませんが、その人が女性であることがそれほど重要なのか、どうしても知りたいのかを考えてみたほうがいいと思います。

―― 1本目の記事「副大統領に女性を選んだ米国の3つの事情」で「経済と安全保障における能力が示せなければ大統領候補としては不足」との指摘がありました。この役割を担うのは男性でも女性でもよく、性別は関係ないですよね

2020年10月、米大統領選でミシガン州で遊説したハリス氏(写真:AFP/アフロ)
2020年10月、米大統領選でミシガン州で遊説したハリス氏(写真:AFP/アフロ)

三浦 これらは決して男性だけがやる分野ではないのに、女性はなかなかやらせてもらえず、福祉などの役割を振られてきたわけです。日本企業にも女性役員が増えていますが、営業や経営戦略よりもバックオフィスや広報といった立場での起用が多いのが実情ではないでしょうか。

 確かに女性には細かな目配りができる人も多いですから、広報に起用したくなる気持ちも分かります。でも日本の政界も経済界も、女性=広報と考えることをもうやめてほしい。目立つ女性政治家は、必ずといっていいほど広報としての役割を担わされます。広報は専門性の求められる立派な仕事ですが、女性だからという理由でその役割しか与えられないのであれば、永遠に経済にも安全保障にも関われません。これからは女性を多様な職種に就けていくことが大切です。