人生100年時代、40~50代での「学び直し」が今後のキャリアや人生を決めるといっても過言ではありません。主に「大学」での学び直しに焦点を当て、選択肢や国の費用面などでのサポートを紹介。また、実際に大学に通ったARIA世代に、大学やコースを選んだ理由、学び直して良かったこと、仕事との両立で大変だったことなどを教えてもらいます。

 人生100年時代、キャリアの期間が伸び、Society 5.0の到来など社会環境の変化が早くなる中、働く人の学び直しは欠かせなくなっています。この特集ではこれまで、学び直しによって新しいキャリアを切り開いた女性、人生後半への新しい視点を得た女性の例を見てきました。

 一方、絶え間ない学び直しを迫られるのが日進月歩の先進技術分野。少子化で若手が減っており、この分野は恒常的な人材不足。既に活躍中の社会人の学び直しに期待がかかっています。

 こうした人材ニーズの高い分野に求められる最新スキルを獲得すれば、キャリアアップや転職が有利に運べます。しかし働きながらの学びは、忙しくて時間が取れない、最適な講座や教材を見つけるのが難しいといった課題がありました。その課題解決に向けて、企業や大学が連携する取り組みが進んでいます。

リカレントで技術者が学び直す機会を増やす

 AI、IoT、情報セキュリティーなど、高度人材が大幅に不足している分野では、産官学が連携する人材育成プロジェクトが推進されてきました。さらに国のリカレント教育への取り組みと合流して、社会人がより学びやすいプログラムが提供され、技術者の学び直しの環境整備が急速に進んでいます

 特集記事の1本目「大学での学び直しが今必要な理由 何を学ぶ? 費用は?」で登場した「職業実践力育成プログラム(BP)」もその選択肢として、技術分野での大学院レベルの認定プログラムが増え、学び直しの機会を提供しています。

 職業実践力育成プログラムは、産学が連携して開発したカリキュラムについて、一定の条件を満たしたものを文部科学大臣が認定するもの。特に、「企業に所属する実務家が講師を務める」や「企業と連携した授業を行う」など、動きの早い分野のビジネスニーズを反映しやすいことが特徴です。

 実際の受講者の年代は30代、40代を中心に幅広く、60代の技術者が最新のスキルを学んで新しい事業領域にチャレンジする例も。

 受講によって、受講者の就業状況がどのように変化したか、どのようなスキルを獲得したかなどを自己評価することも大学側に求められており、結果は大学のホームページなどで自己点検・報告書として公表されていることもあるので受講の際の参考にできます。

 講座によっては学費の最大7割(条件によって変わる)までが厚生労働省の教育訓練給付金から補助されるのも大きなメリットです。プログラムの例を2つ紹介します。