人生100年時代、40~50代での「学び直し」が今後のキャリアや人生を決めるといっても過言ではありません。主に「大学」での学び直しに焦点を当て、選択肢や国の費用面などでのサポートを紹介。また、実際に大学に通ったARIA世代に、大学やコースを選んだ理由、学び直して良かったこと、仕事との両立で大変だったことなどを教えてもらいます。

 大手企業の一般職社員として働きながら、関西学院大学のハッピーキャリアプログラム(文部科学省認定「職業実践力育成プログラム(BP)」)に通い、半年で144時間の講座を履修したオリックス法人営業統括室大阪チームの後藤真里さん。「独身で、老後も働かないと食べていけないけれど、働き口が見つかるか分からない」という切実な思いから、自分のできること、やりたいことを探し、起業、副業を視野に実行に移せるようにするため、44歳だった2018年に大学に通いました。

 半年間の学び直しの後は、副業を形にしただけでなく、「会社では一般職。任される仕事の範囲も決して広くなく、キャリアが伴わないまま年齢ばかり一丁前になってしまう」という本業への不安な気持ちも、変化したという後藤さん。学び先を選んだ理由やかかった費用、仕事との両立、自宅学習、そして受講前と受講後の心境の変化などを聞きました。

一般職でシングル 「定年後も働くために学ばないと」

―― 大学での学び直しを検討し始めたのはいつですか。背景にはどんな意識がありましたか。

後藤真里さん(以下、敬称略) 30代のときから学び直しに興味がありました。ずっと一般職として働いてきて、このまま定年まで働くのか? 定年後はどうするのか? という不安が常にあったからです。私は独身なので、配偶者の収入で暮らしていく、という選択肢はなく、老後も退職金だけで暮らしていけるとは思いません。老後に働き口を見つけようとしても、私のキャリアでは難しいかもしれない。生きるために、その時代に合った働き方を見つけるために一刻も早く学ばないと、と思ったのが一番切実な理由です。

 食に興味があったので、30代のときから健康食やオーガニックなどについて学び、ナチュラルフード・コーディネーターという資格を通信講座で取ったりしました。料理コンテストに投稿して賞をもらったこともあります。料理に関するインスタグラムもしており、自分が会社の仕事以外で何をしていくか考えるとき「食」はキーワードになると考えました。

 食のスキルは教えるレベルまで積んできたので、食をキャリアに結びつける内容を、まずは学びたいと思いました。通える範囲で学校を探していったところ、関西学院大学のハッピーキャリアプログラムに行き着きました。会社から学校まで30分で通えることや、キャリアプランの立て方や起業を視野にした経営戦略、マーケティングなどを学べるのがいいなと思いました。関学の知名度にも魅力を感じました。

 40代前半は母の急な介護をしていて余裕がなかったのですが、母の体調が回復して一区切りつきました。また会社の働き方改革が進み、フレックス勤務が1時間単位で調整できるようになりました。新規事業部門だった当時の上司が新しい学びのために積極的に外部セミナーなどに参加し、勉強をしていたのにも影響を受けましたね。

後藤真里さん
後藤真里さん
関西大学法学部法律学科卒業。20代は法律事務所で弁護士秘書と法律事務。30代からオリックスグループに入社。オフィスのワークスペース管理など総務業務を中心に、現在は、法人営業本部のバックヤードとして勤務。趣味はカフェ巡りと料理

―― 関西学院大学の「ハッピーキャリアプログラム」を受けようと思った理由を教えてください。

後藤 いろいろなタイミングが合い、2018年10月~19年3月の半年、大学に通うことにしました。ハッピーキャリアプログラムには2つのコースがありますが、私が通うことにした「女性の仕事復帰・起業コース」には「キャリアデザイン」「ビジネスコミュニケーション」「モチベーション&リーダーシップ」という必修科目3単位の他、経営の入り口を学べる「コーチング」「会計」「IT」「マーケティング」「経営戦略」などの選択科目があり、魅力を感じました。仕事との両立と科目内容を勘案し、取るものを決めました。