リーダーとしての振るまい、上司・部下のコミュニケーション、失敗のリカバリー、情報収集……常に業界の最前線をひた走るトップランナーたちは、どのような仕事術を持っているのでしょうか。注目を集める各界のトップランナー5人が集結。誰もがまねをしたくなるとっておきのルールを聞きました。

 住宅、商業空間、公共施設……斬新な発想と独自性の高い空間設計で注目を集める建築設計事務所、SUPPOSE DESIGN OFFICE。今年夏、渋谷にオープンしたホテル「シークエンス ミヤシタ パーク」の内装も手掛けました。設計事務所の設立者であり共同代表の吉田愛さんが追求してきたのは創造的な境界領域の可能性。建築設計だけでなく飲食、不動産事業など多面的に活動する吉田さんの仕事のルールとは?

建築家、SUPPOSE DESIGN OFFICE共同代表・吉田 愛さん
建築家、SUPPOSE DESIGN OFFICE共同代表・吉田 愛さん
1974年、広島県出身。2001年、SUPPOSE DESIGN OFFICEを設立、共同代表。建築設計のほか飲食事業のプロデュースと経営、不動産・宿泊事業など分野を横断して活動している。

コロナを機に鎌倉を第3の拠点に。時間効率が上がった

―― SUPPOSE DESIGN OFFICEの事業拠点はヘッドオフィスの広島と東京オフィスの2カ所ですが、新型コロナ以降、働き方がかなり変わったそうですね。

吉田 愛さん(以下、敬称略) これまで、週1度は必ず広島に行って、そのほかに打ち合わせや現場へ行ったり海外へも行ったり。財布の中にパスポートを常に入れている状態でした。

 コロナの感染が拡大し始めた3月に、会社をいったんリモート勤務にしました。建築設計の仕事では一緒に図面を見ながら議論することが多く、多少移動に時間がかかってもじかに顔を合わせて話すほうが早いという感覚がありましたが、今はZoomの画面上で図面を共有しながら打ち合わせをすることも当たり前になりました。移動が減った分、考える時間が増えて仕事の効率は上がりました。

 それと同時に、リモートであれば東京にずっと住む必要はないと思い、鎌倉に住み始めました。不動産事業の1つとして運営の準備をしていた鎌倉のゲストハウスを現在、私のリモートワークの拠点にしています。

 今は、対面の打ち合わせや確認作業は東京オフィスなどで。こもって考えたり自分の仕事をまとめてこなすのは鎌倉、と明確に分けています。

 これまでスケジューリングは秘書に任せていたのですが、お任せだとあっちへ行ってこっちへ行くというように移動が増えてしまいます。自分の時間は人に任せずに、自分で予定を整理して合理的に時間を使うようにしました。

 コロナ以降は、社内の働き方も変わっていくと思います。もう働いた時間で縛ることはできないし、個人の能力、個人の強みが一層重要になります。だから仕事はある段階からはどんどん任せて、社員の自立を促したい。個々が自己責任の下に、自立して仕事に向き合ってほしいと思います。

吉田’sルール1/仕事は人に任せる。自分の時間は人に任せない