未婚率は高まり、核家族化は進み、離婚するカップルは多く、「単独世帯」(ひとり家族)は増え続けています。2040年には総世帯の4割が単独世帯という予測も。これからあなたが頼りにできるのは、家族よりも友達かもしれません。いざというときに相談したり、助け合ったりできる「女友達」について考えます。

 2020年11月3日から東京・虎ノ門の大倉集古館で開催されている『海を渡った古伊万里~ウィーン、ロースドルフ城の悲劇』展。実はこの展覧会、7人の「最強女友達」が力を結集して実現したプロジェクトなのです。その名も「古伊万里再生プロジェクト(通称ROIP)」。仕事に子育てに忙しいアラフィフの女性たちが、粘り強くこの大仕事を成し遂げることができたのはなぜか、メンバーの皆さんに話を聞きました。

ROIPフルメンバー。左から、田中絵里さん、吉田ゆりさん、保科眞智子さん、中川華子さん、石山その子さん、新村知子さん、オンラインで参加の皆川ローデ知子さん。保科さん宅に集まったり、オンラインで話したりしながら、にぎやかでスピード感のあるプロジェクト運営を展開してきた
ROIPフルメンバー。左から、田中絵里さん、吉田ゆりさん、保科眞智子さん、中川華子さん、石山その子さん、新村知子さん、オンラインで参加の皆川ローデ知子さん。保科さん宅に集まったり、オンラインで話したりしながら、にぎやかでスピード感のあるプロジェクト運営を展開してきた

オーストリア古城に眠る古伊万里コレクションとの出合い

―― ROIPの活動を始めた経緯について教えてください。

保科眞智子さん(以下、敬称略) 2015年秋、茶道家である私が日本のオーストリア大使館で催したお茶会でロースドルフ城の城主ピアッティ夫妻に出会い、「お城に大量の壊れた古伊万里を保管している」という話を聞いたのが、そもそものきっかけです。

 代々、陶磁器の収集を行っていたピアッティ家は、17世紀から18世紀にかけて日本から欧州に輸出された古伊万里を中心とした東洋陶磁器を多数保有していました。ところが、第2次世界大戦時に旧ソビエト軍に城を接収された際、陶磁器のほぼすべてを破壊されてしまったそうです。戦後、ピアッティ家はこれらの陶磁器の破片をすべて拾い集めて城の1つの部屋に並べ、「戦争の痛々しい記憶をとどめ、二度とこのような悲しい戦争を繰り返さないように、との願いを込めて展示している」と話してくれました。

 翌年、現地に足を運んだ私が目にしたのは、美しい陶磁器の破片が床一面に広がる光景です。日本から遠い欧州に運ばれ、数奇な運命をたどった陶磁器たちの無残な姿を見てショックを受け、「日本から何かできることがあるのではないか」と思ったのが出発点です。