昨年はコロナ禍で帰省を見送り、今年の年末は久しぶりに親と会う人も多いのではないでしょうか。まだまだ元気と思っていても、親は確実に年齢を重ねています。認知症や介護の問題は、ARIA世代にとっていつ直面することになっても不思議ではありません。お金のことや介護態勢の築き方、認知症のサインと対応など、いざというときに困らないために親と話しておきたいこと、知っておきたいことをまとめました。

 もしも親の介護が必要になったら、親の住む地区の地域包括支援センターに相談に行くことになります。介護が必要になる前に相談に行っておけば、もしものときにも安心なんです。地域包括支援センターにはどのような機能があるのか、どんなサポートが受けられるのか、介護に関する相談支援を行うHOPE代表取締役 森裕司さんに詳しく聞きました。

編集部(以下、略) 地域包括支援センターってどんなところですか?

森裕司さん(以下、森) 地域に住む高齢者のための総合相談窓口です。どんなことでも、介護保険を申請する前の元気な人でも、生活の困りごとがあれば何でも相談していいんですよ。中学校の校区に対して1つずつを目安に設置されていて、お住まいの地区ごとに担当窓口が決まっています。

 親が住んでいる地区の管轄は役所に電話すれば教えてくれますし、行政のホームページで住所から検索することもできます。

 地域包括支援センターには、主任介護支援専門員(主任ケアマネジャー)、保健師、社会福祉士の資格を持った人が所属しています。相談の内容によって担当者が決まります。医療的な相談なら保健師が、介護に関することなら主任ケアマネジャーが、その他、認知症が心配とか、財産管理のことであれば社会福祉士が、というように、それぞれの専門分野の人が対応してくれます。

まずは状況を知らせることからでOK

―― 特に困っていなくても、あいさつに行くだけでもいいのですか?

 はい、例えば「ここで母が一人暮らしをしています、家族は東京で離れて暮らしているので、何かあったときにすぐに駆けつけられません」というようなことを相談すると、お母さんの了解を得た上で、地域の民生委員や自治会長に情報を共有してくれます。

 「娘さんからお母さんが一人暮らしで心配だと相談を受けているので、民生委員さん、気にかけておいてください、自治会長さん、見守りをお願いします。郵便受けに新聞がたまっていたら、地域包括支援センターに知らせてください」という具合に、連携を取って見守りをしてくれます。

 自分で民生委員や自治会長に見守りをお願いに行くのはなかなかハードルが高いですよね。地域包括支援センターと民生委員、自治会は定期的に会議を行って情報共有していて、地域の中でこういう人が認知症だとか、高齢者狙いの詐欺が増えているとか、みんなで連携して見守れるようにしています。

 実は、逆のパターンもありまして、ご近所の人から、「あのお宅、最近洗濯物が出ていないから、体調を崩しているのかもしれない」という報告が上がってきたとき、地域包括支援センターからご家族に連絡してくれます。さらに、どう対応すればよいか相談にも乗ってくれます。早めに地域包括支援センターとつながっておいて、緊急時の連絡先を伝えておくことが大事だと思います。