コロナの自粛期間中に家にこもり、ため込んだモノの多さにあらためて直面した人が大量発生。でも忙しいARIA世代はもっといろいろなモノ・コトをため込み、抱え込んでいます。長大なTO DOリスト、我慢を強いられている仕事のあれこれ、人間関係、生活習慣、思い込み……やめて、手放すことで新しいステージが見えてくる。今だからこそ「幸せになるやめ方、手放し方」を同時代の先達に学びます。

 コロナ禍がいや応なく変えることになったことの一つが働き方。オフィスワークの職種においてテレワークが一気に普及し、「通勤の必要がなくなったなら、都心に住む必要、ないかも?」と、郊外や地方への移住を検討する人も増えています。そこで、実際に「通勤&都心暮らし」をやめたシングルの40代女性にお話を聞きました。

仕事は完全テレワーク、「ここに住む意味あるのかな」

 すっきりと澄み渡った秋晴れの空が広がる古都の朝。都心暮らしをやめた人がいると聞いてやってきたのは、神奈川県鎌倉市。ヤフーSR推進統括本部で募金やボランティアなど社会貢献分野の企画・運営に携わる皆川久美香さんは2020年9月、約10年暮らした東京都目黒区を離れ、鶴岡八幡宮にほど近い静かな住宅街へ引っ越してきました。

 「直近の7年間は中目黒に住んでいて、通勤は自転車で片道30分。どこへ出掛けるにも便利な立地でとても気に入っていました。

 それが、新型コロナの感染拡大で外出自粛になり、家から一歩も出ない生活に。街にも出ないし会社にも行かない。高い家賃を払ってここに住む意味あるのかなあと思ったときに、ふと、子どものときから海や川など、水の近くに住みたいと思っていたことが頭に浮かんだんです。私は山も大好きでよく登山に出掛けるのですが、動かない山に対し、水ってひと波ごとに全然表情が違いますよね。そういう、動いている自然の近くで暮らしたいなあと」

 ヤフーは緊急事態宣言解除後も在宅勤務を原則とする体制を継続し、そのまま場所や時間にとらわれない新しい働き方へ移行することを決定。引っ越しを決断する後押しになりました。

 「以前からヤフーには月に5日まで好きな場所で働ける『どこでもオフィス』という制度があったので、テレワークで働く環境も整っていたし、実践することにも慣れていました。ただ私は人と会って話す時間も大事にしたいので、完全テレワークが導入された後も週に1回くらいは出社しています。海が近くて、なおかつオフィスに通うこともできる場所ってどこかなと考えたときに、ぱっと浮かんだのが鎌倉。私はお寺の座禅会に行くのが好きなので、そういう意味でも鎌倉は自分に合っていると思いました」

仕事がテレワーク主体になったのを機に鎌倉へ引っ越した皆川久美香さん。由比ヶ浜から鶴岡八幡宮へと続く若宮大路で
仕事がテレワーク主体になったのを機に鎌倉へ引っ越した皆川久美香さん。由比ヶ浜から鶴岡八幡宮へと続く若宮大路で