40~50代、ARIA世代の日本女性は世界で最も眠っていないと言われます。短時間睡眠を続けると認知症などの危険性が上昇、仕事の生産性も低下。そして…? 隠れ睡眠不足の怖さから、最高の睡眠のための実践方法、実際に試して分かった快適睡眠グッズまで詳しくお伝えします。

 独自のMRI脳画像診断法を開発し、1万人以上の診断や治療を行っている脳内科医、加藤プラチナクリニック院長の加藤俊徳さん(58歳)。50歳の時に初めて「自分がいかに『睡眠』で失敗してきたか」に気づいてがくぜんとしたという。脳内科医ですら気づかなかった睡眠不足の怖さと、そこからの脱出によって分かったこととは?

50歳のある日「感動できなくなっている」と気づいた

 加藤さんが「なんだかおかしいな」と気づいたのは50歳の時だったという。

 「毎日忙しくて充実しているはずなのに、ある日、自分の顔を鏡で見た時に『なんだかさえないな。なぜ楽しそうな顔をしてないんだろう』と思ったんです。テレビ出演する際の自分の映像を見ても、なんだか表情が硬いなあと。

 その数年くらい前から、心から楽しいという気持ちがあまり湧いてこなくなっていたと気が付きました。学会に出席するために海外に行って、初めての町を訪れてもわくわくしない。全般的に感動が薄くなっている。しかもなんだか記憶力も落ちている。自分が研究している脳科学分野では『脳は常に右肩上がりで成長することが大事』だと言っているにもかかわらず、自分はどうしちゃったんだろう。もしかしてボケたんじゃないか。そう思ったのが最初でした」

 そのときは何が原因か分からず、普段の生活を一つずつ検証し始めたそうだ。

 「初めに気づいたのは、朝食がおいしくないということでした。昔はあんなに朝ご飯がおいしかったのに、今はただ食べ物を口に詰め込んでいるだけのような感じで、量もあまり食べられなくなっていた。

 その頃は、仕事と勉強を終えて家に帰ってくるのはいつも午前2時過ぎ。そこから真夜中のドカ食いです。例えばカレーがあったら、鍋が空っぽになるまで大量に食べてしまい、止められない。そんなことが週に何度もあり、ほとんど習慣化していました」

 日ごろの生活を検証し始めた加藤さんは、さらに重大なことに気が付いた。

 「自分はどうしちゃったんだろう。ぼけたんじゃないか」と脳内科医が気づいた体からのサイン。次ページから詳しく解説する。