令和を迎え、昭和的な家族観や結婚観が大きく揺らいでいます。「血縁こそ、家族」「妻、夫はこうあるべき」といった古い考えから解き放たれた多様な家族、そして結婚のカタチが生まれています。「離婚約」で夫婦の関係性を見直す人、人生後半の再婚で新たな絆を紡ぐ人、血縁にとらわれない家族をつくる人、夫婦の役割を柔軟に入れ替える人…変わりゆく家族、結婚のカタチに迫ります。

「年齢」よりも「子ども」をどう考えるか

編集部(以下、略) ARIA読者には「これから結婚して家族をつくりたい」と考えている人も多いです。そこで、40、50代の最新の婚活事情を知るために、結婚相談所で仲人を務める3人に集まっていただきました。本日はよろしくお願いします。早速ですが、40、50代と20、30代の婚活がどう違うかについて教えてください。

カナコ(仮名、婚活のモットーは「行動あるのみ」) 年齢というよりも、「子どもについてどう考えているか」で事情が大きく変わると思います。正直なところ、男性は50歳を過ぎても子どもが欲しいと思っている人がかなり多いので、「欲しくない」を選んだらマッチングの幅は狭まるかもしれません。

ケン(仮名、自身も結婚相談所を利用して40代で結婚) 僕も子どもをどう考えるかが大きな要素だと思いますね。結婚相談所に登録する際には、子どもが「欲しい、欲しくない、どちらでもいい」の選択肢から選ぶ必要があります。40代前半までは子どもが欲しいと答える女性がやっぱり多い。6割くらいでしょうか。40代後半になると3割くらいまで下がります。「どちらでもいい」が無難な答えですけどね。

カナコ とても大事なことなので、私は40代以上の女性にはかなり踏み込んで聞きます。子どもが欲しいと答えた人には「“なんとなく”ではなくて“本当に”欲しいですか」「不妊治療してまで欲しいですか」とか。今は養子でもいいという女性もけっこういますよ。

ミナ(仮名、キャリアコンサルタントの資格も持つ) 今は卵子凍結をしている女性もいますね。お見合いで初対面の相手に伝えるわけではないですが、交際に進んでからは卵子凍結をしていることを伝えるケースが多いようです。本人が言いづらければ、私たち仲人から言うこともあります。

私は選ばれる側? 就活生の頃の気持ち、思い出せますか?
私は選ばれる側? 就活生の頃の気持ち、思い出せますか?

「相手は30代でも大丈夫です」 現実が見えていません!

―― 子どもに関しては希望通りにならないこともありますし、なかなか難しいですね。男性は年下の女性を希望するイメージがあるんですが、それはどうですか?

ケン 確かにその傾向はあると思います。今ちょうど50代半ばの男性で30代前半を希望している相談者がいますね。ただ、男性の場合でも10歳以上も年下との成婚はなかなか難しい。見た目が若い、清潔感がある、稼げる、コミュニケーション能力が高いという人なら成婚できるかもしれないですが。

カナコ 年下を希望するのは男性だけじゃないですよ。40代半ばの女性に相手の希望年齢を聞くと「30代でも大丈夫ですよ」「下5歳から上5歳までOK」と答える人がけっこういます。正直、“でも大丈夫”って何? 年下も希望する? と思います。厳しい言い方ですが、結婚市場における自分の立ち位置が分かってないなと。現実が見えていないというか。

 私はあえて最初に厳しいことをお伝えするんです。「40数年間、あなたは誰にも選ばれていないですよね。選ばれていないということは、選ぶ側の人事部の気持ちでお見合いしてはダメなんです。選ばれる側の就活生の気持ちでお見合いしてください」って。就活生は、企業に選ばれるために必死ですよね。そういう気持ちでお見合いも頑張りましょうって。

―― 厳しい! 始まって5分でもう涙が出そうです……。実は私の友人はカナコさんの結婚相談所に入会して見事に結婚したんですよね。カナコさんと初めて面談したとき、雷に打たれたようになっていました。「目からウロコが100枚落ちた」ってLINEが届いたことを思い出します。

カナコ これまでと同じことをしていたら、同じ結果しかないですからね。本気で結婚したいなら変わってほしいんです。ご友人は努力されて見事に希望の相手と結婚できました。

ケン 厳しい仲人さんばかりじゃないですよ。僕は優しい(笑)。確かに結婚を目的としていないコミュニティなら年下の方と接したり仲良くしたりする機会もあると思うんですけど、いざ40、50代が結婚まで持って行くとなると文脈が大きく変わりますよ。

ミナ 最近、40歳の女性が45歳の男性を「オジサンだからイヤ」とおっしゃっていました。自分が27歳のとき32歳はオジサンに見えましたか? と聞きたい。恋愛のときと目線が変わっていないというか、「結婚相手」として考えられていないんですよね。これは婚活アプリの弊害と言えるかもしれません。

カナコ 確かに! 婚活アプリの弊害は、40、50代の女性が「選べる」と錯覚してしまうこと。たまにマッチングして「私はまだまだ若い男子もいけるな」って思ってしまう。クロージング(結婚)できていないってことは選べていないんですけどね。「結婚したい」という気持ちが前面に出てる女性には、だまそうとする男性も近づいて来るから気を付けたほうがいい。

ミナ でも、結婚相談所に登録する人はほとんど婚活アプリを使っていますよね。アプリで痛い目に遭ってから入会する人も多いです。