令和を迎え、昭和的な家族観や結婚観が大きく揺らいでいます。「血縁こそ、家族」「妻、夫はこうあるべき」といった古い考えから解き放たれた多様な家族、そして結婚のカタチが生まれています。「離婚約」で夫婦の関係性を見直す人、人生後半の再婚で新たな絆を紡ぐ人、血縁にとらわれない家族をつくる人、夫婦の役割を柔軟に入れ替える人…変わりゆく家族、結婚のカタチに迫ります。

 今すぐ別れるのではなく、将来の離婚を約束する「離婚約」。ARIAでも小島慶子さんが「エア離婚」と表現して大いに話題になりました。言葉の発祥はお笑い芸人・インスタントジョンソンのじゃいさん。妻から「4年後に離婚します」と言い渡されたことを「離婚約」と題してブログにつづったのが始まりだそう。離婚を約束することは夫婦をどう変えるのか。ブログ発信から4年がたった今、じゃいさんに離婚約のその後を聞きました。

家事や育児に協力的じゃない夫に妻の怒りが爆発

編集部(以下、略) 4年前、ブログに書いた内容は、「2歳の次男が小学校へ入る4年後に離婚をする」「2人の子どもを連れて妻が出て行く」「慰謝料や養育費は要らないが、今まで預けたお金は妻がもらう」という内容でしたよね。それはどんな状況で言われたのですか?

じゃいさん(以下、じゃい) 家にいるときに妻から話があると言われ、「4年後に離婚します」と一方的に宣言されました。当時は次男が2歳、長男が小学校2年生で。次の日、長男に「パパとママが離婚するけど大丈夫?」って聞くと「嫌だ」って言ったんです。でも妻が「新しいお父さんはパパよりカッコいいかもしれないよ」って言ったら「まあ、それならいいかな」って。面白いから「離婚約」という題でブログに書いたら、思いがけず反響がありました。

 離婚約という言葉が話題になって、情報番組に呼ばれたり、いろいろたたかれたりもしましたね。子どもを何だと思っているんだ、(妻を)好きだったら引き留めるはずだ、と言われることはありました。

―― 離婚約を言い出される兆候はあったんですか?

じゃい 家事とか育児に協力的じゃないということは前々から言われていました。それは全部、その通りです。そもそも妻の理想は、『サザエさん』に出てくるマスオさんでしたから。真面目なサラリーマンで定時に帰って一緒にご飯を食べる。芸人の僕とは全然、違いますよね。だから予兆はあったといえばありました。何か決定的なことがあったわけではないですが、まあいろいろな積み重ねがピークに達したんでしょうね。

―― 妻から一方的に離婚と言われて、腹が立ったり、反論したりはしなかったんですか?

じゃい 怒りはありませんでした。ああ、そうか……と。子どもが2人いて大変なのは分かっていたんですけど、「手伝うよ」って言うと、「なんで手伝うっていうスタンスなんだ!」って怒られるし。妻も働いているから、そこは対等なので。でも、やっぱり妻のほうが家事は得意だから、つい任せていました。

「妻とは付き合って15年、結婚して14年。お互いに変わった性格だとは思います。妻が何を考えているか、今も分からないです」と話すインスタントジョンソンのじゃいさん。ブログをきっかけに『離婚約』(双葉社)という著書も刊行した
「妻とは付き合って15年、結婚して14年。お互いに変わった性格だとは思います。妻が何を考えているか、今も分からないです」と話すインスタントジョンソンのじゃいさん。ブログをきっかけに『離婚約』(双葉社)という著書も刊行した

―― 離婚した後のことは具体的に話しましたか?