社会が変化するスピードが速い今の時代、キャリアについて新たな行動を起こすきっかけは、自分の意思で決められるものばかりではありません。コロナ禍による休業要請や会社の制度変更などに直面した人たちは、戸惑いや試行錯誤の末にどう新たな一歩を踏み出したのでしょうか。「逆境」でもキャリアの迷子にならず、主体的に道を切り開くための準備や心構えについて考えます。

 新型コロナウイルスのまん延により、深刻な打撃を受けた業界の一つに旅行・観光業が挙げられる。特に世界各国で入国制限が実施されたために世界中の航空会社がフライトの便数削減や人員削減に追い込まれた。

 CA(客室乗務員)として長年、外資系の航空会社に勤めてきた垣花実里さんも、その影響を受けた1人だ。

 「現在は、欧州系の航空会社に正社員として勤めていますが、これまで週14便あったフライトが2020年3月のフライトを最後に、その後3カ月間完全運休。再開したものの週3便に減便して運行しています。結果、日本に拠点を置くCAが余ってしまい、働き方を2つの選択肢から選ぶことになりました

欧州系航空会社でCAを務める垣花実里さん。1979年名古屋市生まれ東京都在住。フライト歴は17年
欧州系航空会社でCAを務める垣花実里さん。1979年名古屋市生まれ東京都在住。フライト歴は17年

 1つは、仕事は減るがCAとして業務を続けるというもの。多少の金額の調整はあるが、安定した給与が支払われ続けるというので、多くの同僚はその道を選んだ。

 そしてもう1つは、休職するというもの。休職期間は完全に無給になり、会社が負担していた社会保険料も本人がすべて払うことになる。垣花さんは、この休職という選択をした。

 「めちゃくちゃ後悔した瞬間もありました。私、なんで休職を選んでしまったんだろう……って。でも、今はその選択をしてよかったと思っています」と、逆境のなか、あえて無給の休職を選んだ結果として得たものの大きさを語ってくれた。