組織での職位が上がるにつれて期待されるのが、高度な意思決定。『ビジネススクール意思決定入門』(日経BP)の著者で経営学者の内田和成さんは、「リーダーの最重要スキルは『決めること』」と言います。変化が速く先の見えづらい社会で、タイミングを逃さず質の高い意思決定をするには? ミドル世代がキャリア人生を長く生き抜くために押さえておきたい実践的なビジネス理論や考え方を3回にわたりお届けします。

(1)リーダーに必要な経済性分析 「最大利益」どう見極める ←今回はココ
(2)数値の幻想に惑わされない「合理性」「感情」のバランス
(3)リーダーの混乱が招く危機 提案を通すためにすべきこと

 まずは、皆さんに質問です。リーダーが意思決定をする上で、一番大切なことは何だと思いますか? 重要な決断が求められる場面で、分からないことがあるからといって、すべての情報を集めることに時間をかけて意思決定をしていたのでは、せっかくのチャンスを逃してしまいます。「限られた情報を基に、いかに早く、質の高い意思決定をするか?」というスキルが重要になります。

2022年3月までの約15年間、内田さんが講師を務めた早稲田大学ビジネススクールの人気講座の内容を基に、意思決定に必要な理論や考え方を分かりやすく1冊にまとめた『ビジネススクール意思決定入門』。ボストン・コンサルティンググループの日本代表を務めた経験があり、「世界で最も有力なコンサルタントのトップ25人」(米コンサルティング・マガジン)にも選ばれた内田さんならではの実践的なノウハウが満載
2022年3月までの約15年間、内田さんが講師を務めた早稲田大学ビジネススクールの人気講座の内容を基に、意思決定に必要な理論や考え方を分かりやすく1冊にまとめた『ビジネススクール意思決定入門』。ボストン・コンサルティンググループの日本代表を務めた経験があり、「世界で最も有力なコンサルタントのトップ25人」(米コンサルティング・マガジン)にも選ばれた内田さんならではの実践的なノウハウが満載

 意思決定の基本的なスキルは日常の中で身に付いているものです。例えば洋服を選ぶとき、週末の予定を決めるとき、悩みを誰かに相談するときなど、私たちは日常のあらゆるシーンで相手や場所、場合(状況)、タイミング、自分の気持ちなどを総合的に考えて意思決定を行い、その時々で最善だと思う答えを導き出しています。ビジネスでは、その対象がステークホルダー(利害関係者)であり、資金面や利益に対する考え方など考慮すべきポイントが異なるという点に違いがあります。

 ビジネスにおける意思決定は“総合格闘技”のようなものです。1つの指標で判断するよりも、「ディシジョンツリー」や「経済性分析」「行動経済学」「行動心理学」「シナリオプランニング」「リーダーシップ」「リスクマネジメント」といった理論や考え方を複合的に組み合わせることで、意思決定の質は高まります。

 さらに、意思決定の質を高める重要な手法として「数値化」は欠かせません。特にビジネスにおける意思決定では、「利益をどれくらい生むか?」という視点(=経済性分析)が重要になります。今回は数値化の手法の一例として、利益を最も大きくする正解の導き方を紹介します。