資産形成やキャリアの構築に精を出しても、思わぬトラブルに巻き込まれて人生の計画が大きく狂ってしまうことがあります。被害者の多くが口にするのは「まさか自分が…」という言葉。詐欺や消費者トラブルを未然に防ぐにはどうすればいいのか。自分で自分の身を守る術を専門家に聞きました。

その出会い、仕組まれた投資詐欺かも?

 「最近、男女問わず40~50代の方が次々と相談に来るのは、ロマンス詐欺や国際ロマンス詐欺についてです」と言うのは、東京弁護士会「消費者問題特別委員会」の委員を務める弁護士の佐伯理華さん(千代田の郷法律事務所)だ。国民生活センターに寄せられたロマンス詐欺の相談件数も、2021年度は前年度の約2倍に増加した(20年度=84件、21年度=170件)。

 「ロマンス詐欺と呼ぶか、国際ロマンス詐欺と呼ぶか、投資詐欺と呼ぶか。ハッキリとした線引きはできませんが、いずれも手法は似ています。SNSやマッチングアプリなどで連絡を取り合っているうちにFX(外国為替証拠金取引)や暗号資産(仮想通貨)の投資話を勧められ、少額の入金から始まります。国民生活センターがまとめた以下の特徴や手口に、ほとんどのケースが当てはまっています」(佐伯さん)

国民生活センターの「相談事例から見えるトラブルの特徴、手口」を基に編集部で作成
国民生活センターの「相談事例から見えるトラブルの特徴、手口」を基に編集部で作成

 「国民生活センターの相談者のうち、ロマンス詐欺については女性相談者の割合も多くなっています。ある程度パターンは決まっているので、少しでも怪しいと感じたら次のステップに進まないように注意してほしい」(国民生活センター相談情報部 飯田周作さん)

「ロマンス詐欺の場合、振込先の口座を凍結しても、資金は残っていないケースがほとんどです」(佐伯さん)
「ロマンス詐欺の場合、振込先の口座を凍結しても、資金は残っていないケースがほとんどです」(佐伯さん)