ウクライナ情勢や急速な円安を背景に物価が上昇する中、2022年度の公的年金支給額は昨年度に続き引き下げられました。少子高齢化が進む現在、給付水準はさらに下がっていくでしょう。老後の経済的な不安と向き合うには、60歳以降も働く未来を真剣に考えたほうが良さそうです。すでにそんな生き方をしている人、視野に入れている人たちを取材しました。

55歳で起業 転機は「夫からの自立心」

 約10年間の専業主婦生活ののち、パート社員や正社員の経験を経て、55歳で起業した中道あんさん(59歳)。自身の経験と強みを生かして、女性のスモールビジネスを応援する「LIFE SHIFT-BLOG LESSON 発信マーケティング塾」を主宰し、ホームページ×アメブロ攻略コンサルタントとして活動している。

 転機となったのは、「夫から自立」したいという気持ち。どんなときも前に進もうと、常に「考動」した中道さんは、どのように機転を利かせ、起業にこぎ着けたのか。まもなく迎える60代を「これからも楽しみながら働きたい」と話す中道さんに、「60代以降も働き続けるために、私たちが今できること」を聞いた。

中道あん(59歳)
中道あん(59歳)
なかみち・あん/約10年間の専業主婦生活ののち、パート社員や正社員を経験して55歳で起業。自身の経験と強みを生かして、女性のスモールビジネスを応援するマーケティング塾を主宰し、ホームページとブログを活用したWeb集客のコンサルタントとして活動している。近著は『昨日とは違う明日を生きるための新しい幸せの始め方』(KADOKAWA)

 26歳で結婚するまで、大手メーカーで働いていた中道さん。「結婚は永久就職」「女性は結婚したら家庭に入るものだ」という常識に何の疑いも持たず、社内恋愛の末に結婚。長男の妊娠を機に退職した。

 専業主婦として10年ほど過ごし、3人の子育てもひと区切りついた頃、中道さんは医療系の事務でパート社員として働くように。やがて転職し45歳で正社員になるが、ここが上司のパワハラが横行するブラック企業だった。しかし辞めたくても辞められない理由が、中道さんにはあった。

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