ウクライナ情勢や急速な円安を背景に物価が上昇する中、2022年度の公的年金支給額は昨年度に続き引き下げられました。少子高齢化が進む現在、給付水準はさらに下がっていくでしょう。老後の経済的な不安と向き合うには、60歳以降も働く未来を真剣に考えたほうが良さそうです。すでにそんな生き方をしている人、視野に入れている人たちを取材しました。

 定年後も働くために必要なものって、何でしょう? スキルや資格? 健康な体? もちろんそれも大事な要素ですが、忘れてはいけないのが「人脈」。「今、自分が幸せに働けているのも、すべて人脈のおかげ」と語るのは、リストラという憂き目に遭いつつも、数々の企業で経験を積み、46歳で独立の道へと踏み出した河上純二さん。

 名刺アプリ「Eight」に登録された名刺の数は約9800枚、Facebookの友達の数は上限数の5000人を超えてしまったため、アカウントを2個使いしているという人脈づくりの達人・河上さんに、今からできる人脈づくりのノウハウを教えてもらいました。

「ワークライフバランス」ではなく「ワークアズライフ」

編集部(以下、略) 46歳で独立とは、決して早いほうではないと思いますが、やはり人脈があったから飛び込めたのですか?

河上純二さん(以下、河上) いえ、そのときは人脈がこんなに生きるとは思っていなかったですし、ものすごく不安でした。独立にあたって確約された仕事もありませんでした。

 最後にいた会社がIT企業だったのですが、40歳半ばに差し掛かるあたりで世代交代を如実に感じ始め、「河上さんは、明日から窓拭きをやってもらえますか?」と言われる日も近いなと思うようになってきたんです。

 それと同時に、同世代の知人の訃報が立て続けに届くようになって、「自分も明日どうなるか分からない。自分らしく輝ける幸せな働き方をしよう」と独立を決意しました。

河上純二
河上純二
かわかみ じゅんじ/1971年生まれ。1994年丸井(現・丸井グループ)入社。その後映像クリエーターやIT企業でのプロデューサーや事業責任者などを経て、現在は、主にベンチャー・スタートアップ複数社の顧問アドバイザーを務める。著書に『10年後に活きる人脈のつくり方』(日本能率協会マネジメントセンター)

―― 結果、今すごく幸せな働き方ができているのですよね。

河上 今は11社の顧問業をしながら誰にも束縛されず、自分の時間も多く持てるようになり、かねて興味のあったラジオパーソナリティーの仕事などもできています。

 そのうえ同世代のサラリーマンの平均収入より多くの収入も得られていて、「ワークライフバランス」ではなく、仕事とプライベートの区別がつかなくなるほど仕事が楽しい「ワークアズライフ」を実現できています。この幸せな働き方ができているのも今まで人との出会いを大切にしてきたからだと思っています。

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