ウクライナ情勢や急速な円安を背景に物価が上昇する中、2022年度の公的年金支給額は昨年度に続き引き下げられました。少子高齢化が進む現在、給付水準はさらに下がっていくでしょう。老後の経済的な不安と向き合うには、60歳以降も働く未来を真剣に考えたほうが良さそうです。すでにそんな生き方をしている人、視野に入れている人たちを取材しました。

 人生後半も長く働き続けたいと思うものの、ずっと会社員だった私が次にできることって何だろう? これといって専門性もないし、何から手をつければいいのか分からない……そうした不安や悩みを抱える人も多いのではないでしょうか。自身も会社員時代に定年後の働き方を模索した経験から、女性のセカンドキャリア支援の会社を立ち上げたNext Story代表取締役の西村美奈子さんに、誰もができる「セカンドキャリアに向けた自分の強みの見つけ方」について聞きました。

目標は「今の自分より1ミリでも前に進むこと」

 40代、50代の女性がセカンドキャリアについて考える場合、大きく3つのタイプに分かれると西村さんは言います。「1つ目は、既にある程度これをやろうと決めている方。2つ目は、こういう分野のことがやりたいという思いを持っている方。子どもに関わることや健康に関すること、みたいな感じです。そして3つ目は、『私は何をやったらいいんでしょう?』という方です。一番不安を抱えているのは、やはり3番目のタイプですね」

 女性は一般的に自己肯定感が低い傾向があり、「会社の外に出たら、私にできることなんてあるのかな……」などと出発点がネガティブ思考になりがちです。西村さん自身も、会社員時代は多様な部署で働いてきたがゆえに、専門性がない自分について最初はそう感じていたと言います。

 「そこで私がセカンドキャリア支援でよく言っているのが、『自信を持っていいんですよ』ということ。社会に出て30年近く働いてきたことに対して、まずは自分を認めてほしい。あとは、人と比べないこと。メディアって、どうしてもキラキラキャリアの人にスポットが当たりがちですよね。そういう人たちと比べたら自分なんて、と思ってしまうのも無理はないけれど、それってたまたまなんですよ。

 例えば管理職になった人は、もちろんご本人の努力もあるけれど、運や巡り合わせが良かったというのもあると思うんです。一方で、頑張って働いているけれど、子どもが病気がちで仕事が続けられなかったり、夫が単身赴任でワンオペ育児の状態が多くなってしまったり、自分の体調が悪かったりというように、努力だけではどうにもならない、いろんな事情を抱えることもある。

 だから、人と比べても仕方がないんです。比べるなら、対象は『今の自分』。今の自分より1ミリでも前に進むことを目指して、自分の強みを考えていきましょう」

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