カジュアル化の波もあり、仕事服の選択肢が増えた昨今。でも自分らしさは出しつつ、きちんと見える服はどう選べばいいの? 黒や紺に頼ってしまいがちだけど怖く見られない? ――管理職ARIAが気を付けるべき8の「落とし穴」のほか、似合う服が分かる顔タイプ診断、痛くなりにくいヒール靴の選び方、使えるブランドなどを紹介します。仕事服の「正解」を学び直しましょう。

会社の名前を背負うシーンで「好きな服だから」はNG

 複数の国内ブランドでPRを歴任したのち、バーニーズ ニューヨークで宣伝部ジェネラルマネージャーに就任、その後エストネーションを設立するなど、長年にわたりファッション業界で活躍してきたイメージングディレクターの高橋みどりさん。現在は、企業やブランドのマーケティングとPRを手がける傍ら、働く女性向けの講演会も多数行い、その率直かつ的確なアドバイスの虜(とりこ)になるファンも多い。

 今回、高橋さんに教えてもらうのは、管理職の中でもさらに責任の大きなポジションにある「エグゼクティブ向け」の仕事服の作法。

高橋みどりさん
高橋みどりさん

 高橋さんいわく、エグゼクティブ女性の主な悩みは、「若い人たちとどうやって差をつけるか」。より責任のある立場に就き、出会う相手や行く場所も変わる中で、自分にふさわしい服装が分からないし、お手本となる人もいない。でも「あの人、仕事はできるけどダサいよね」とは思われたくない。そんな女性たちのために、立場に適したドレスコードから効率的な買い物の仕方まで、高橋さんに基本のキから聞いた。

 「最初に必ず伝えるのは、仕事服と普段着は違うということ。エグゼクティブがオンとオフ、両方に着回せる服を探すと、実際はどちらにも使えない服を買うことになります」

 服装に関する職場の自由度も高くなり、ファッション誌では「オン・オフ使える服のコーディネート法」といったページも見かけるが、エグゼクティブにおいてはその発想はNG。なぜなら、仕事にはTPPO――「Time(いつ)」「Place(どこで)」「Person(誰と)」「Occasion(場合)」があり、「この商談を成功させたい」「初めて会う目上の相手に失礼のないようにしたい」といった目的が必ずある。対して、プライベートにはそのような制約はないため、同じ洋服でまかなうのはどうしても無理があるという。「会社の名前を背負って、何十億の契約を取りに行くこともあるのがエグゼクティブ。そこで、自分の好きな服を着るという選択肢はありえませんよね」と高橋さんは強調する。

 エグゼクティブらしいTPPOをわきまえた服装とはどういうものか。洋服に投資すべき金額の目安や、効率的な買い物の仕方、制約がある中での自分らしさの添え方など、エグゼクティブのための仕事服攻略法をお伝えする。