35歳転職限界説は過去の話、深刻な人手不足で、40代以降にも転職チャンスは拡大――。終身雇用が常識だったバブル世代も、厳しい就活を経験した氷河期世代も、転職の一歩を踏み出すなら今だと言う声がある。一方で「誰もが簡単に転職できる訳ではない」という指摘も。40代以降で転職できる人の共通点とは? 転職の最短ルートは? 「40歳からの成功する転職」を徹底的に考えます。

「40代の今だからできる転職がある」

 「40代でも道は開ける」「40代の今だからできる転職がある」「自分を磨いていれば気づいてくれる人はいる」「現職の評価が低くても、高く評価してくれる職場は必ずある」「変わりたい、という思いがあれば、40代でも違う扉を開くチャンスはある」……こう話すのは、40代で転職に成功した女性たち。一方、54歳で「3日間泣き続けた」後、気持ちを切り替えて満足のいく転職を果たした女性は「悲壮感を持っていては、いい転職はできません」と、転職の壁にぶつかる女性にエールをくれた。

 40代で初めて転職した女性もいれば、就職氷河期ど真ん中で10社目の転職という女性も。ARIA世代5人の転職奮闘記から、彼女たちが転職できた理由を探った。

42歳で初めての転職 面接は「キレ」と「柔らかさ」で勝負

転職ファイルNo.1 田中泉さん(仮名・44歳)
直近の転職/42歳
仕事/大手グループ企業のセールスマネジャー → ベンチャー企業のマーケティングマネジャー
年収/初年度はほぼ同じ、2年目から上がった

<転職テクニック>
・職務経歴書でマネジメント経験をアピール
・面接は「キレ」と「柔らかさ」で受け答え

 新卒で大手航空会社系列のソフトウエア会社に就職し、19年間在籍。Webサービスの企画開発などプロダクトの企画・開発の業務が長かったのですが、辞める直前はセールス部門でした。業界は値下げ合戦で消耗、かつ自社での製品開発が減る中で、残り20年弱の自分のキャリアをどう描いていけばいいのか……。

 これまで転職経験もなく、漠然とした不安を抱いていたときに見つけたのが女性に特化した転職エージェント「LiBz CAREER」です。ここが女性管理職の求人をしている企業を紹介していました。当初は「40代女性にどんな求人があるのだろう」という興味本位で登録しました。

 職務経歴書にはこれまでのマネジメント経験を余すところなく記載。面接では新卒採用ならば誠実さや素直さが高ポイントになると思いますが、転職の場合は「明日から一緒に仕事をするメンバー」としての適性を判断されます。質問に対して、その場でベストな答えを出す「キレ」と、自分の経験や考えを若干のユーモアを含めて伝える「柔らかさ」を持てたことが勝因でしょうか。特に女性はキレだけだと「怖そう」という印象を持たれてしまうこともあるので。

 面接担当者から「田中さんならこの課題をどうしますか?」と聞かれたとき、今だから笑える過去の失敗事例を、反省点も含めて話し「その経験から、今の私ならこうできます」と伝えると、雰囲気が和みました。面接はお互いに「面接官と被面接者」の役割の下で話しますが、そんな関係性のなかでも人間味が伝わるような会話ができると良いのかなと思いました。

 19年間務めた残業の多かった会社を辞め、40代で初めての転職でした。「こうなりたい!」という決定的な理由で転職したというよりは、「リサーチする過程で自分に合う選択肢が見つかり、次へシフトできた」という感じです。転職後、周囲の人からは「充実して楽しそう」「生き生きしている」と言われます。

 とはいえベンチャー企業なので、会社の情報や口コミが非常に少なく入社してから分かったことも多々あります。退職金制度やその運用などは事前にもっとしっかり確認しておけばよかったと思うことも……。また、ベンチャーだから起こりうる急なリスクを常に考えながら仕事をしているのも、今までとは違う点ですね。新卒で入った会社で幸せに定年まで働けるのであれば、それが一番だと思います。でも、自分では解決できないような課題を抱えているなら、一歩を踏み出してみてください。40代でも道が開けると思います。