35歳転職限界説は過去の話、深刻な人手不足で、40代以降にも転職チャンスは拡大――。終身雇用が常識だったバブル世代も、厳しい就活を経験した氷河期世代も、転職の一歩を踏み出すなら今だと言う声がある。一方で「誰もが簡単に転職できる訳ではない」という指摘も。40代以降で転職できる人の共通点とは? 転職の最短ルートは? 「40歳からの成功する転職」を徹底的に考えます。

100社送っても通らない「職務経歴書の壁」

 いざ、転職活動スタート! となれば、「転職エージェント」「リファラル採用(縁故採用)」「求人サイト」のどの方法をとったとしても、履歴書と共に必要になるのが「職務経歴書」だ。「40代以降の転職活動で『職務経歴書を100社に送ったのに1社も通らない』というのは珍しい話ではありません」とは、特集1回目で話を聞いた、転職支援業界に30年以上携わる黒田真行さん。

 自分が重ねてきたキャリアや実績を変えることはできないが、採用担当者の目に留まり、次のステップへとつながる職務経歴書にするにはどうしたらいいのだろうか。転職エージェントJAC Recruitment(ジェイエイシー リクルートメント)のプロフェッショナルコンサルタントとして、2200人以上の転職を支援してきた莇(あざみ)朋代さんに、そもそも職務経歴書にはどんなことをどのように書くべきなのか、「通る職務経歴書」のコツを聞いた。

そもそも、職務経歴書には何を書く?

莇さん 職務経歴書には、まず「職務経歴書」というタイトルを太字で書き、氏名、書いた日付も冒頭に記入します。続いて「職務要約」。これまでにどのような企業で、どのような経験を積んできたのか、どんな強みがあるかを冒頭2~3行でまとめ、キャリアの概要を理解してもらうのです。ですが……正直なところ、明確な強みが分かる経歴があり、魅力的に分かりやすくまとめられる場合は書くことをお勧めしますが、まとめても、強烈な強みとして伝わりづらい場合は不要です。

 次に「職務経歴」。「いつ」「どの会社・部署で」「何をしたか」の職務の内容を箇条書きにします。通常業務以外のプロジェクトや、手掛けた業務改善なども記しましょう。今の主流は、現在から過去に遡って順に記載する方法。現職や直近の前職の経験のほうが、より転職時に生かしたい経験やスキルを含んでいることが多いためです。一方で、直近の経歴はあまりさえないけれど、新卒で入社した会社が大手で見栄えがする……などの場合、過去から現在にかけて書いてもかまいません。ちなみに履歴書は、必ず過去から現在にかけて書きます。

 3つ目が「資格」です。英語力や他の語学力、Word/Excel/PowerPointなどのPCスキルと、そのレベルも記載しましょう。例えばWordはビジネス文書の作成、ExcelはVLOOKUP関数、グラフ作成などです。職種に限らず、近年は英語力が重要視される傾向です。英語力を示すスコアを持っている場合はスコアに加え、仕事で使っていたかどうかも記載しましょう。

 4つ目が「自己PR」。専門職としてのスキルの他、マネジメント能力などもアピールしてください。いろいろな要素を詰め込み過ぎず、簡潔に箇条書きで。「○○がやりたいです」という内容を記載する人が多いですが、ここは「PR」を書く場。ご自身のPRすべきスキル、経験内容を記載してください。「忍耐強い」「明るい」など、人柄や特性を記載する方も多いですが、書くとしても1つまでと考えてください。

2ページ目では、「通る職務経歴書」のコツを伝授する
2ページ目では、「通る職務経歴書」のコツを伝授する
3~4ページでは、読者が本気で書いた職務経歴書を莇さんにチェックしてもらった。もっとアピールすべき点、改善すべき点は?
3~4ページでは、読者が本気で書いた職務経歴書を莇さんにチェックしてもらった。もっとアピールすべき点、改善すべき点は?