35歳転職限界説は過去の話、深刻な人手不足で、40代以降にも転職チャンスは拡大――。終身雇用が常識だったバブル世代も、厳しい就活を経験した氷河期世代も、転職の一歩を踏み出すなら今だと言う声がある。一方で「誰もが簡単に転職できる訳ではない」という指摘も。40代以降で転職できる人の共通点とは? 転職の最短ルートは? 「40歳からの成功する転職」を徹底的に考えます。

 40代の転職でやりがいも年収も前職を上回った「満点転職者」がいる。グローバルヘルスケア企業、PHCホールディングスの荒木史代さんだ。今年1月、43歳で人生初めての転職を経験し、現在は同社の人事部採用企画室室長として働く。小学生と未就学児の子どもを抱え、忙しい毎日を送るワーキングマザーの荒木さんが、なぜ今、転職を決断し、どうやって成功を勝ち得たのか。話を聞いた。

PHCホールディングス人事部採用企画室室長の荒木史代さん。職住近接で恵まれた労働環境だった前職を飛び出したのは、「仕事でワクワクしたい」そんな思いからだった
PHCホールディングス人事部採用企画室室長の荒木史代さん。職住近接で恵まれた労働環境だった前職を飛び出したのは、「仕事でワクワクしたい」そんな思いからだった

40歳で仕事人生の踊り場に

―― まずは、荒木さんが転職を決めたいきさつから教えてください。前職はどのような仕事をされていたのですか。

荒木史代さん(以下、敬称略) 人材会社のマネジャーでした。職場は自宅から自転車通勤できる距離にあって、在宅勤務も可能。20年間勤めて、勝手知ったる社内の人間関係は良好で不満もありません。役員に直接対話もでき、理解してもらえる、風通しのいい環境でした。

―― 人がうらやむような恵まれた職場ですよね。なぜ、転職しようと思ったのですか。

荒木 仕事でワクワクできなくなったからです。新卒で入社した当時、社員は100人ほどのベンチャーでした。徐々に規模を拡大し、会社の成長と自分の成長を一緒に感じられて、貢献している実感を持てました。

 私が40代になるタイミングで会社が統合され、グループ社員3万6000人もの大企業になりました。私自身は、マネージャーとして営業部から人事部へ異動。仕事内容がガラリと変わりました。

―― どのような仕事になったのでしょうか。

荒木 30代までは組織をゼロから立ち上げる仕事が多かったのですが、人事部では「将来を見越して、経営目線で進める」調整型の仕事になり、自分には向いていないな……と。仕事はそれなりに面白いのですが、ワクワクしない。マネジメントの壁を感じました。

 これはもう、仕事人生の踊り場じゃないかという思いが募り、今の会社から飛び出して転職するしかないと決断しました。

荒木さんは2人の子どもを育てるワーキングマザー。時間に追われる毎日を過ごしながら、どうやって転職できたのか。その答えは、2ページ以降に
荒木さんは2人の子どもを育てるワーキングマザー。時間に追われる毎日を過ごしながら、どうやって転職できたのか。その答えは、2ページ以降に
採用事情を知り尽くしたスペシャリストが、なぜ転職エージェントを利用したのか。真相は次ページで
採用事情を知り尽くしたスペシャリストが、なぜ転職エージェントを利用したのか。真相は次ページで