企業型確定拠出年金を導入する企業は増加し、老後のための資産形成を会社任せにする時代は終わっています。と同時に、ARIA世代にとっては退職金や年金の額がリアルに見えてきて、定年後の生活に不安を感じることもあるのでは。50代と40代のアプローチの違いに注目しつつ、今すぐ始めるべき資産形成のステップを紹介します。

 ARIA世代であれば、毎月コツコツと積み立てて、すでにある程度の預貯金があるという方も多いでしょう。超低金利の今、銀行に置いておくのももったいない、でも一気に投資して失敗するのも怖い……。そこで、「コツコツためた1000万円、初心者はどう投資する?」をファンドアナリストの吉井崇裕さんに聞きました。

「投資に回してよいお金」を考える

編集部(以下、略) 預貯金が1000万円ほどあったとして、「投資したい」と思っても何から始めればいいか分からないという人も多いはずです。そもそも1000万円のうち、どのくらいを投資に回せばいいのでしょうか?

吉井崇裕さん(以下、吉井) 今後5年間以上、使う予定が全くなければ、大げさに聞こえるかもしれませんが、全部投資に回してもいいと思います。ただし、条件があります。1000万円のうち、一時的であったとしても、この金額だけは1円たりとも減らしたくないというお金、それは投資に回さず、預貯金で置いておきましょう。

 例えば、万一病気になって仕事を休むなど、収入がなくなった場合に備えて、1年間ほどの生活費は準備しておくと安心です。また、お子さんの学費で使うお金などは確実な預貯金で取っておきたいという人がいる一方で、その学費を使うのが5年、10年先であれば、多少のリスクをとって投資しても構わないという人もいると思います。

 そのため、1000万円あるなら、1年間ほどの生活費を引いて残ったお金のうち、今後5年以上使う予定がなく、投資によって多少減ることがあっても許容できるお金が、「投資に回してよいお金」ですね。

―― なるほど。そう考えると、具体的に投資に回せる金額が見えてきますね。では、具体的にどのように投資すればよいですか?

吉井 それは次の3つのステップで考えていきます。