仕事をしていれば人間関係でうまくいかないことはたくさんある。とはいえ、若手社員でもなければ、立場もある。思いのままに愚痴を言ったり、ぶつかったりするだけで解決できないことも山ほど…。そりが合わない上司や同年代からの嫉妬、セクハラ・パワハラ…。読者の声をもとに、専門家取材や先輩経験談を通して、ARIA世代だからこそのスマートなかわし方を探ります。

 日本IBM、マイクロソフト、LIXILと、名だたる企業で活躍し、現在はパナソニック コネクティッドソリューションズ社常務などを務める山中雅恵さん。男性だらけの部署で女性としてキャリアを積んできた経験などから、「仕事は楽しんだ人こそが、うまくいく」という答えに達した。

パナソニックコネクティッドソリューションズ社常務兼現場プロセス本部副本部長、パナソニックシステムソリューションズジャパン取締役執行役員副社長。1987年慶応義塾大学卒業、同年日本IBM入社。女性初の大手法人営業を担当後、IBM Asia Pacific社長補佐、IBM General Business製造業担当営業部長などに従事。その後、マイクロソフトで業務執行役員流通サービス統括本部長、LIXILで執行役員特需開発事業部長を歴任。2017年7月パナソニックに入社。パナソニックのBtoBビジネスの柱となる「現場プロセスイノベーション」の推進を担い、「日本発」のブランドで世界に役立つソリューションを生み出したいという思いで事業にまい進している
パナソニックコネクティッドソリューションズ社常務兼現場プロセス本部副本部長、パナソニックシステムソリューションズジャパン取締役執行役員副社長。1987年慶応義塾大学卒業、同年日本IBM入社。女性初の大手法人営業を担当後、IBM Asia Pacific社長補佐、IBM General Business製造業担当営業部長などに従事。その後、マイクロソフトで業務執行役員流通サービス統括本部長、LIXILで執行役員特需開発事業部長を歴任。2017年7月パナソニックに入社。パナソニックのBtoBビジネスの柱となる「現場プロセスイノベーション」の推進を担い、「日本発」のブランドで世界に役立つソリューションを生み出したいという思いで事業にまい進している

パワハラ、セクハラ、ブラックもない時代に入社して

 「営業は数字が上がると楽しいのですが、『女性の立場を利用して数字を取っている』『あの人は数字を上げるためには何でもする』なんて、知らない人からも言われていました。直接言われるだけでなく、A社の人から『B社の営業の人が、山中さんはC社の常務と関係があるらしいと言っていた』と聞いたこともあります。常に何か言われてるな、という感じはありましたね」

 山中さんは、男女雇用機会均等法施行の翌年に日本IBMに入社。同期約1600人中、女性が350人ほど。初めて女性が大手法人担当の営業になった11人のうちの1人だった。「パワハラ、セクハラ、ブラックという言葉がなく、それらが当たり前のようにあった時代。女性はどんどん辞めていき、数年したら営業で同期の女性は私一人になりました」という。女性が比較的多いスタッフ系部門と異なり、当時営業は「メンズワールドで、女性がチームにいることの方がまれ」。そのような環境で、どのように自分の立ち位置を築いてきたのだろうか。

 「私はそもそも、オンナを売りにできるタイプではないですから(笑)。一緒に仕事をしている仲間は、私が真摯に仕事をしていることを理解してくれている。それなら、信頼できる仲間を大切にしていればいい。私を知らない人から何を言われても気にしない、いい人と思われなくてもいい、と考えるようになりました

 仕事を辞めたくなったこともあったというが、いったいどのように乗り越えてきたのか。次ページからは、山中さんが人間関係などで悩んだときにどのような行動をしているのか、部下へ厳しいことを伝える際に気を付けていること、職場の人間関係に問題が起きたときの対処法などについて、体験談や具体的なノウハウを聞いていく。