かつてはお金持ちの特権だった別荘ライフや海外移住、海外留学。バブル崩壊と経済停滞の30年を経て、庶民クラスにも手の届く2拠点生活や、海外移住・留学の穴場カントリーが、注目されています。「いやいや、私は都心を離れたくないので短時間勤務で働きたい」など、ARIA世代が描くわがままな「未来妄想図」を実現するにはいくら必要なのか、取材しました。

 平日は東京で、週末は自然豊かな千葉県南房総市の里山で暮らす2拠点生活を12年間続けている馬場未織さん。東京では建築関係のライターを、南房総では仲間と共に立ち上げたNPO法人南房総リパブリックの代表理事として、親子で自然体験学習をする「里山学校」など里山環境の保全・活用、都市農村交流活動などをしています。

 南房総に見つけた土地は農地2900坪を含む8700坪、なんと東京ドーム半分の広さの自然豊かな里山。そこに立つ築100年以上の古民家が、週末、家族と過ごすもう1つの住まいです。購入費用は「高級輸入車が1台買えるくらいの値段」。2拠点生活を始めたきっかけは、生き物好きだった息子さんに「自然と触れ合える『おばあちゃんのいないおばあちゃんの家の田舎』をつくってあげたい」という思いからだったそうです。

 毎週のように家族と共に南房総へ通う2拠点生活を12年間続ける馬場さんに、2拠点生活の魅力と成功させるための秘訣を聞きました。

夫、子ども3人と2拠点生活を送る馬場未織さん(46歳)。南房総の家は、築100年の古民家。東京ではフリーライターの仕事をしているが、南房総では農家モードに変身。「南房総では、野良仕事に追われる日々です」
夫、子ども3人と2拠点生活を送る馬場未織さん(46歳)。南房総の家は、築100年の古民家。東京ではフリーライターの仕事をしているが、南房総では農家モードに変身。「南房総では、野良仕事に追われる日々です」
夫、子ども3人と2拠点生活を送る馬場未織さん(46歳)。南房総の家は、築100年の古民家。東京ではフリーライターの仕事をしているが、南房総では農家モードに変身。「南房総では、野良仕事に追われる日々です」
2拠点生活の達人・馬場さんに2拠点生活で増えた出費、減った出費を聞いた。意外なものが安くなる? 説明は、次ページ以降で
2拠点生活の達人・馬場さんに2拠点生活で増えた出費、減った出費を聞いた。意外なものが安くなる? 説明は、次ページ以降で

2拠点目にも「ただいま」という気分で帰る

―― どのような2拠点生活をしているのですか?

馬場未織さん(以下、敬称略) 週に4~5日は東京で仕事をし、2~3日は南房総で過ごしています。南房総の家までは車で約90分。金曜の夜に家族と車で南房総へ移動し、週末を過ごすパターンが多いですが、最近は一番上の子が大学生になるなど、3人の子どもも大きくなり、週末にそれぞれ予定が入るので、毎回、一緒に行くメンバーは変わります。

 南房総では畑仕事をしたり、草刈りをしたり、野草を摘んで料理したり……。子どもたちは思い思いに自然遊びを楽しんでいます。特別なことはなく、「ただそこで暮らす」というだけですが、豊かな自然に囲まれたこの土地で朝から晩まで体を動かし、小鳥のさえずり、木々を渡る風の音に耳を傾ける生活をしていると、日ごろの悩みもどこかに吹き飛んでしまいます。旅行と違うのは、地域コミュニティーとの人間関係が続いていること、移動した先も自宅ということでしょうか。毎週、「ただいま」という気分で帰っています。

―― 2拠点生活はお金がかかりそうなイメージなのですが、実際はどうですか?

自身は、2拠点目として築100年の古民家を購入。そんな馬場さんがお勧めするのは「買う」それとも「借りる」?
自身は、2拠点目として築100年の古民家を購入。そんな馬場さんがお勧めするのは「買う」それとも「借りる」?