バブル崩壊後の不況期に社会に出る運命にあったがゆえに、就職難に見舞われた氷河期世代。40代の多くの方は、少なからず氷河期に辛酸をなめた経験があるはずです。氷河期はなぜ生まれたのか、氷河期世代を取り巻く環境の変化、さらにはウィズコロナの時代にこの世代がどうなっていくかを考察。「氷河期の壁」を乗り越え、苦難を成長の源泉に変えた女性たちのレジリエンスにも迫ります。

 40~50代、ARIA世代の多くは、就職氷河期を経験している世代です。意気揚々と社会に出ようとしたものの、スタートからつまずいてしまった人もたくさんいるはず。あれからはや20年以上が過ぎ、今、何を思うのでしょうか。氷河期を経験した女性4人が、泣いて笑ってやっぱり泣いて、でも最後には……? 悲喜こもごもの体験談と、これからの生き方について語ります!

●加奈さん(47歳、1996年卒、会社員、仮名)
新卒時は1社も内定を取れず、フリーターに。翌年、第二新卒で出版社に入社したが、ブラック企業だったため、27歳で結婚退職。離婚後に派遣社員として働き始めるが、リーマン・ショックで派遣切りに遭う。その後、大手金融に派遣社員として入社し、奇跡的に正社員に登用され、現在に至る。37歳で再婚。

●恭子さん(46歳、1996年卒、派遣社員、仮名)
旅行業界を志望していたが募集自体が少なく、卒業間際に旅行手配をする会社に内定。入社するも、会社に未来を感じられず1年で退社して同業他社へ。出産・育児・夫の転勤に帯同した時期に在宅でできる添削の仕事を続けた後、ネット旅行会社にパートとして復職。正社員を目指して大学でリカレント教育を履修。現在は派遣社員として旅行会社で働く。

●美和子さん(49歳、1993年卒、会社員、仮名)
何社受けたか忘れるほどたくさん入社試験を受けたが、大手は全滅。大学の先輩の多くが内定を取っていた会社にも落ちて心が折れるも、なんとかベンチャー企業に滑り込む。その後はキャリアアップを目指してMBAを取得、1部上場企業に転職。46歳で介護離職後に復職。現在は外資系IT企業に勤務。

●ライターK(46歳、1996年卒、フリーライター)
新卒時は、無謀にも志望業界を出版・新聞に絞ったため、全落ち。フリーライターとして活動を始める。これまで1度も正社員になったことはない!

大学入学1週間目で就職難の到来を覚悟!

ライターK 今日は氷河期世代ど真ん中の皆さんにお集まりいただきました。実は私も氷河期世代で、新卒時に内定ゼロ。そのままフリーターからフリーライターになったので、これまで1度も正社員になったことがありません。ボーナス、退職金とも無縁です! 皆さんは就活時に氷河期を実感しましたか?

加奈 私は大学に入学して1週間もしないうちにサークルの4年生の先輩から「いやあ、一気に景気がやばくなったね。きっと君たちの就活はもっと悲惨だよ。せっかくいい大学に入ったのにかわいそうだね」と言われたんです。難関私立大に入学したので、自分では人数の多い第2次ベビーブーム世代を勝ち抜いて、このまま楽勝で就職できると思っていました。でも、先輩の話を聞いて、「受験と就職はつながっていないのか……のんきに学生生活を過ごせないな」と覚悟しました。

恭子 入学1週目から! すごいですね。私は就活を真面目に考えないまま大学4年生になり、いざ就活を始めたら、どこに行ってもセミナーは超満員。受けても、受けても、受からない。わざわざ他大学の就職センターに求人票を見に行ったこともあります。そうしたら「君の大学には、求人を出してないよ。受けられないよ」って。他大学まで情報を取りに行くガッツを評価してもらえるかと思ったら、門前払いされました。ちなみに夫は4歳年上ですが、バブル世代の最後で就活は引く手あまただったそうです。

美和子 私の夫もバブル入社組ですが、他社の面接を受けさせないためにホテルに缶詰にされたとか……。私は、一つ上の先輩たちがギリギリ就職氷河期を逃れた世代。同級生はというと、男子はまだ就職できましたね。女子は厳しく、親のコネで大手企業の一般職に、という人以外は、みんな苦戦していたと思います。特に親のコネもない、地方出身の女子は業界や業種を変えても、大手はまず無理でした。私も落ち続け、最後に見つけたベンチャー企業に就職しました。

ライターK 当時、新卒でベンチャー企業は珍しかったのでは?

美和子 希望していた業界とは違ったけれど、とりあえず受かったので。募集要項に「やる気のある若手を求める。当社では1年間で3年分成長できる」と書いてあり、いろんなところに落とされた悔しさもあって、「3年分成長してやろうじゃないか!」と思って入社しました。