抜け毛、白髪、うねり――コロナ自粛のストレスと夏の強い紫外線の影響で、今年の秋はいつも以上に髪や頭皮に負担がかかっています。Zoom会議が増える中、ファッションよりも第一印象を左右するのが髪。ARIA世代が知っておくべき髪のメンテンナンスを深掘りします。

残りの人生、ずっと染め続ける?

 白髪染めでヘアサロンに行く頻度が高くなってくると、だんだん時間もお金も負担になってきます。そんなとき気になるのが「グレイヘア」。ナレーターの近藤サトさんも似合っていますよね。とはいえ、白髪を伸ばしたらどうなるのか、老けて見えるのではないか、伸びかけた白髪をどうやり過ごせばいいのか――分からないことだらけです。そこでグレイヘアの仕掛け人といわれる編集者、依田邦代さんに、「美しいグレイヘアの作り方」を聞いてみました。

―― 『グレイヘアという選択』をはじめ、数多くのグレイヘア本を作られてきましたが、ご自身が白髪染めをやめようと思ったのはいつ頃ですか?

依田邦代さん(以下、敬称略) 私自身は40代から10年以上白髪染めをしていて、だんだん白髪の量が増えて、3週間に1度染めるようになりました。一般的な白髪染めではかぶれるようになってしまったのでヘナ染めに変えたから、時間も取られる。「いいかげん嫌だな」と思ったのですが、当時は「染めない」という選択肢は自分の中にもありませんでした。でも57歳のとき、残りの人生、ずっとこうやって白髪を染めて続けていくのかと思ったら、そんなことのために時間もお金も費やすなんて!と衝撃を受けてしまったんです。

依田邦代(よだ・くによ)
依田邦代(よだ・くによ)
編集者、concepta代表。1981年主婦の友社入社。雑誌編集長などを経て書籍編集者に。『グレイヘアという選択』など、数々のヒット作を手掛け、現在はフリーランス編集者として活動中

表紙に選んだ美しい女性がみんな白髪だった

―― その思いが「グレイヘア」をテーマにした本を世に出すベースになったのですね。

依田 グレイヘアの本を出版する前に、街で見つけたおしゃれなシニア女性の写真を集めた『OVER60 Street Snap』(主婦の友社)を出していたんです。シリーズ4冊をふと並べたら、自分でも意識していなかったのですが、表紙の女性がみんな白髪だった。髪は白いけど、全然おばあさんという感じがしなくてすてきでした。それで、白髪でもすてきな人がいるということは分かった。でも、白髪染めをやめたらどうなるのか、移行期間のことも分からない。私自身が途方にくれてしまい、「それが分かるような本を作ろう」と思ったんです。

最新刊『若々しいグレイヘアの作り方Book』まで、5冊のグレイヘア本を手掛けた。トータルで12万部のヒット作に
最新刊『若々しいグレイヘアの作り方Book』まで、5冊のグレイヘア本を手掛けた。トータルで12万部のヒット作に

―― いざ、自分もグレイヘアに移行しようと思うと、「老けて見えるのでは」「伸ばし途中はどうなるのか」といろいろ悩みそうです。