世界的に注目度が高まっている「フェムテック」。Female(女性)とTechnology(テクノロジー)を掛け合わせた造語で、女性の健康課題をテクノロジーで解決するサービスや製品のことを指します。消費者向けでは、吸水ショーツや月経カップといった月経関連の製品に光が当たっていますが、骨盤底筋を鍛えるアイテムなど、更年期関連のサービスも続々登場。急速に市場が拡大するフェムテックの最新情報をお届けします。

更年期経験者だからこそ開発できた

 育児や介護と仕事の両立に関する課題は職場でも認識されるようになり、サポート体制が整ってきているが、更年期については「十分な理解が得られている」という状況には程遠い。

 フェムテックのサービスやプロダクトでも目立っているのは、吸水ショーツや月経カップなど月経に関する分野が多く、更年期に関する分野のものはあまりない。しかし経済産業省の調査では、更年期に関する分野に年間約1兆3000万円の経済効果を見込んでいる(※1)。

 更年期世代の女性といえば、仕事において管理職や重要なポストを任される世代でもあり、そこに大きな経済効果が見込まれるのは、理にかなっている。にもかかわらず、この分野のプロダクトやサービスが現在は手薄なのはなぜなのか。更年期世代が、LINEやメールで簡単にカウンセリングを受けられるサービス「よりそる」を立ち上げた高本玲代さんに、更年期世代のフェムテックについて話を聞いた。

編集部(以下、略) フェムテックには、更年期に関する分野のサービスやプロダクトが少ないように感じます。

高本玲代さん(以下、高本) 更年期に関する分野では自宅で女性ホルモンを計測できるキットなども注目されていますが、確かにまだそこまで多くはないですね。おそらく、フェムテックの分野に挑戦しているのはスタートアップ系の企業が多く、更年期を経験している私のような40代以降の事業者が少ないというのがあると思います。

高本玲代さん
高本玲代さん
1975年生まれ。滋賀県出身。お茶の水大学文教育学部卒業後、セブン&アイ入社。帝人、ヘルスケア系のスタートアップ企業を経て、2020年4月に更年期世代向けのカウンセリングサービス「よりそる」(旧:wakarimi)を立ち上げる。デロイト トーマツ グループ、ポーラなどの企業研修なども行う