40代はなんとか頑張れそうな気がする。でもその先、「50代の私のキャリア」は? 男女雇用機会均等法第1世代が50代中盤を迎える今、やがて来る定年をどう迎えるかという課題に女性も続々と直面します。どういう働き方をすれば充実した仕事人生を送れるのでしょうか。キャリアを高めるべきか、広げるべきか、はたまた「賢く降りる」べきか――「50代のキャリアを輝かせる」コツをお届けします。

 会社員生活も終盤にさしかかり、このまま漫然と定年まで過ごすよりも、早めに次のステップに向けて動き出したほうがいいのかな……。そんなモヤモヤを抱える50代ARIAに対し、「まだ辞めないで」というアドバイスを送るのは、ミドル世代のキャリア支援を数多く手掛けているFeelWorks代表取締役の前川孝雄さんです。前川さんいわく、「会社は学びの宝庫」。人生の後半戦も生き生きと働くために必要な意識の切り替えや、40代のうちから始めるべきことについて聞きました。


前川孝雄
FeelWorks代表取締役
前川孝雄 1966年、兵庫県生まれ。大阪府立大学、早稲田大学ビジネススクール卒業。リクルートで「リクナビ」「ケイコとマナブ」「就職ジャーナル」などの編集長を経て2008年にFeelWorksを起業。「上司力研修」「50代からの働き方研修」などのテーマで400社以上を支援している。『「働きがいあふれる」チームのつくり方』(ベストセラーズ)など著書多数。最新刊は『50歳からの逆転キャリア戦略』(PHP研究所)。青山学院大学兼任講師。

女性は男性より会社や肩書への執着は薄いものの…

―― 前川さんは企業向けの研修などで、40代、50代の会社員に数多く接していらっしゃいます。定年が近づくにつれて感じるモチベーションの低下や未来への不安、迷いは、男女に共通するものなのでしょうか。

前川孝雄さん(以下、敬称略) そうですね。これ以上昇進する可能性がなくなったり、役職定年を迎えたりすることで「キャリア・プラトー」(キャリアの停滞期)を実感することは男女共にあります。ただ男性に比べると、女性はそこまで落ち込まない人が多いですね。僕が普段接している男女雇用機会均等法第1世代、第2世代の女性は、客観的に見て、同世代の男性よりもキャリア意識はしっかりしていると感じます。

 日本の大企業のしくみは男性がつくってきたもので、その中で均等法やダイバーシティ、働き方改革、ワークライフバランスなどといろんなことがいわれ、女性の働き方の選択肢も少しずつ広がってきました。しかしながら女性の行く先には「ガラスの天井」があって、そこをこじ開けるのは容易ではなかった。優秀なのに、同期の男性より役職に就くのが遅れるといったことも起こってきました。女性たちは「自分は会社に頼り切って働いて大丈夫だろうか」と冷静に考えながら働いてきたので、会社の名前や肩書に対して男性ほどには執着がない人が多い。これはすごくいいことだと思います。

 とは言っても、20年、30年と企業で働いていると、女性であっても組織の論理に影響は受けますし、「このまま会社にいるよりは外に出てみたい、でも、外でも通用するのだろうか」といった不安を抱く人はいますね。

―― ミドル世代がそうした不安に直面したとき、どのように対応すればいいのでしょうか。