「目がかすむ」「眠れない」「疲れやすい」。40代、50代はいろいろな不調が起きやすい年頃です。忙しくてつい後回しになりがちですが、これからも長く付き合うこのからだ。少しお金をかけてでもメンテナンスを始めるタイミングかもしれません。人生100年時代、健康は大切な資産の一つ。パーツごとにケアの方法やかかりやすい病気を専門家に聞きました。

 DX(デジタルトランスフォーメーション)やデジタルデバイスの進化で、パソコンやスマホなどの画面を見る時間は驚くほど増えています。仕事を長く続けるうえでも目の健康はますます重要に。40代以降は加齢変化による目の病気が出やすくなります。気をつけたい病気の症状や治療法などを山王病院アイセンター・センター長の清水公也さんに聞きました。

40代以上の20人に1人が緑内障

 「目は急激に衰えるのではなく、10代後半から少しずつ老化していきます」と山王病院アイセンター・センター長、清水公也さん。「老眼やドライアイが進み、白内障や緑内障など病気の発症率が上がるのが40代以降。特に気をつけたほうがいいのが緑内障です」。

 国内での中途失明原因の1位(2005年以降)になっている緑内障は、視神経に障害が生じて視野が失われていく病気。40代以上の5%、20人に1人が発症する(※)といわれ、年齢が上がるにつれ増えていきます。

※日本緑内障学会が2000~2001年に実施した多治見緑内障疫学調査

 初期段階では自覚症状がなく、なかなか異常に気づくことができません。片方の目の視野が欠けても、もう一方の目で補ったり、欠けた状態に慣れてしまったりするからです。「障害を受けた視神経は治療で元通りにすることができません。だから緑内障は早期発見、早期治療が大切。進行性の病気なので、できるだけ早く発見して、進行を食い止めることが重要です」。放っておくと失明にもつながる病気ですが、多くの場合は点眼薬などで進行を防ぎ、軽度な状態を維持することができます。

眼圧検査では見つからない緑内障も

 緑内障の原因は眼圧が高いことだといわれますが、日本人の場合、眼圧が正常、または低い数値でも緑内障になる人が約7割を占めています。「早期に緑内障を発見するためには、眼圧検査だけでなく、眼底検査を受けることが大切です。眼の奥にある眼底の写真を撮ると、視神経の状態がある程度分かります。また、OCT(光干渉断層計)という検査を行うと、かなり初期の段階でも診断ができるようになりました」。

 「両親や血縁関係者に緑内障がいる人、近視・遠視が強い人は発症リスクが高いので特に注意を。40代になったら年に1度は眼底検査を受けることをお勧めします」。