将来に備えて「稼ぐ」「貯める」も必要ですが、ときには思い切って「使う」ことで人生が味わい深いものになることも。趣味に、移住に、推し活にと、ARIA世代らしく人生を謳歌する女性たちは、収支のバランスをどう考えながら、何にお金を投入しているのでしょうか。人生を豊かにする「楽しいお金の使い方」を探ってみました。

 東京都内在住でフリーのラジオディレクターとして働く斉藤りかさん(52歳)は今年、ホンダのロングセラーバイク「スーパーカブ(以下、カブ)」を購入しました。しかし斉藤さん、バイクの免許を持っていません。運転できないのにバイクを買ったってどういうこと? 「この子に乗りたいから免許を取る!が私のモチベーション。新しい挑戦にワクワクします」という斉藤さん流の「出費の楽しみ方」を聞きました。

「この子、本当にかわいいんですよ~」と笑顔で話す斉藤りかさん。一目ぼれして買ったという愛車のスーパーカブを自宅マンションの前まで押してきてもらいました。免許取得はこれから!
「この子、本当にかわいいんですよ~」と笑顔で話す斉藤りかさん。一目ぼれして買ったという愛車のスーパーカブを自宅マンションの前まで押してきてもらいました。免許取得はこれから!

趣味の世界で使ってきたお金 仕事にも生きている

編集部(以下、略) おじゃまします……おお、ご自宅の中、すごいですね。玄関にはミニカーがずらりと並んで、キッチンからリビングにかけて、大量のCDにレコード、オーディオ、ギターにキーボード……バイクのお話を聞きに来たのに、気になるものが多すぎます!

斉藤りかさん(以下、斉藤) やりすぎですよね(笑)。でも、家中を心置きなく好きなもので埋め尽くせるのはシングルの特権。私にとって趣味の世界は欠かせないものです。

 音楽好きは子どもの頃からです。小学生のときにYMOを見てキーボードが未来的でかっこいいと思ったのをきっかけに、コンピューターを使った音楽にはまっていきました。音楽に関わりたかったので、初めに就職したのも楽器店。20代の頃は中古のマックプラス(Macintosh Plus、80年代に発売されたアップルのパソコン)を25万円くらいで買って作曲したり編曲をしたりしていました。

 もう一つ好きなのがモータースポーツです。F1などを見ているうちに自分でも何かやってみたくなり、30代はレーシングカートに熱中。自前のカートでレースにも出ていました。40歳でもうやりきったかなと思って卒業してからは、音楽のほうに戻ってもっぱらインドア生活です。

 こういう趣味の世界って、何でも仕事につながると思っているんです。ラジオ番組の企画のネタにもなるし、例えば波形編集(収録した番組などの音声データをパソコンで整えること)なんかも、20代のときにパソコンで音楽を作っていたときとやっていることは変わらないんですよ。

自宅の玄関(写真上)にはミニカーがずらり。下の写真はレーシングカートに乗っていた頃の斉藤さん。元来の車好きが、カブとの出合いを引き寄せることに…
自宅の玄関(写真上)にはミニカーがずらり。下の写真はレーシングカートに乗っていた頃の斉藤さん。元来の車好きが、カブとの出合いを引き寄せることに…

―― それにしても、免許を取る前にバイクを買ってしまったというのはなかなか思い切った行動だと思うのですが、何かきっかけがあったのでしょうか?

斉藤 ここ最近はインドア生活になってはいたものの、やっぱり車系は好きで、ふと二輪にも乗ってみたいと思い立って。そんなときにバイク乗りの友達から「なんだかんだで、カブはいいよ」という話を聞いたんです。