自分の「強み」をしっかり把握していますか? そして、その強みを最大限に生かす働き方ができていますか? 先が見通しづらく、環境が変わりやすい今、大きな武器になるのは自分の強み。ただし、強みは不変的なものではありません。定期的に見つめ直し、ブラッシュアップすることが必要なのです。ではどうやって? 個人やチームの強みの見つけ方、その磨き方をお伝えします。

 多くのリーダーが抱える悩みの一つが、「強いチーム・組織」をどうつくるか? だろう。「どんなチーム、組織にも“組織文化”と呼ぶ固有のモノサシがあり、そこを見つめ直し、刷新し続けることで勝ち癖がある組織にできる」と話すのは、リーダーを育成する「コーチのコーチ」として、また組織変革のコンサルタントとして活躍する中竹竜二さん。「組織文化」とは何か、どうやって見つけるのか、そしてどう変えていくのかを聞いた。

チームボックス代表取締役 中竹竜二さん
チームボックス代表取締役 中竹竜二さん
1973年福岡県生まれ。早稲田大学卒業、レスター大学大学院修了。三菱総合研究所を経て、早稲田大学ラグビー蹴球部監督に就任。大学選手権2連覇を果たす。2010年から日本ラグビーフットボール協会、指導者を指導する立場である初代コーチングディレクターに就任。12年から3期にわたりU20日本代表ヘッドコーチを務め、16年には日本代表ヘッドコーチ代行も兼務。14年、企業のリーダー育成トレーニングを行うチームボックス設立。18年にスポーツコーチングJapanを設立し、代表理事に。著書に『ウィニングカルチャー 勝ちぐせのある人と組織のつくり方』(ダイヤモンド社)など多数

組織の最大の個性、そして強みは「組織文化」

編集部(以下、略) そもそも、「強いチーム、強い組織」とは、どんなものだとお考えですか?

中竹竜二さん(以下、中竹) 全戦全勝のチームが必ずしも強い組織というわけではありません。私が考える強い組織とは、メンバーが常にこれでいいのかと問い、チャレンジを続け、進化や成長を止めない組織。そういう組織文化を持っていれば、想定外の状況が起きても「勝ち方の引き出し」をたくさん持てます。

 組織文化は、3人の小さなチームでも100人の部署でも大企業でも、規模の大小に関係なく必ずあるものです。メンバーが何となく共有し、空気のように感じている暗黙の価値観のこと。無意識のうちに受け入れて共有している考え方のクセと言ってもいいかもしれません。

―― なぜ、今、組織文化に注目すべきなのでしょうか。

中竹 現代はあらゆるものが可視化されています。売り上げ、市場での反応、ユーザーの継続率や顧客満足度など、さまざまなものがデータ化されるようになり、企業や組織、個人への評価までも数値目標に対する成果が重要視されるようになりました。しかし、目に見えるものだけで、すべての問題が解決できるわけではありません。

 例えば、メディアをにぎわす企業の不祥事。データ偽装や不正会計などの根底にあるのは、それを生み出す空気や容認してしまうような組織文化です。それぞれの組織に属する人に暗黙的に共有されている「いい/悪い」「好き/嫌い」「ウチらしい/らしくない」などの組織文化が土台にあって、組織のルールや行動、思考、そこから生み出される製品やサービスなどに影響を与えているのです。

 組織にとって最大の個性であり、強みにも時には弱みにもなるのがこの組織文化です。そして、私がとりわけ組織文化を大切にすべきだと考えるのは、新製品や新サービスは簡単にコピーできますが、文化はその組織独自のものであるからです。未来を予測することの難しいこれからの時代は、自分たちの組織文化を知り、その独自性を強めていくことが重要な意味を持ちます。

自分が属する組織文化を知るために、まずは何をどのようにチェックすればいいのか。2ページ目以降で解説する
自分が属する組織文化を知るために、まずは何をどのようにチェックすればいいのか。2ページ目以降で解説する