デジタル技術で生活が変革するDX(デジタルトランスフォーメーション)の時代と言われても、SNSもネット上の仕組みも、いまいち使いこなせていないと感じていませんか? やってみたら思った以上に世界が広がるネットの世界。仕事に、趣味に、クラウドファンディングやSNSやYouTubeを活用して、人生が豊かになってきたという人の声を聞いてみました。

 有名タレントが並ぶ音声プラットフォーム「Voicy」で一般人ながら5万人のフォロワーを持つ尾石晴さん。尾石さんがブログを始めたのはわずか3年前。外資系企業に勤め、(子育てする女性が昇給や昇進しにくいキャリアを歩まざるを得ない)マミートラックに悩みながら発信を始めたことで、新しい世界が広がりました。2020年に16年間勤めた会社を退社。著書の出版やヨガインストラクターなど多方面で活躍しながら、今は「サバティカルタイム(学びの長期休暇)」と自ら定めて、新しい挑戦の準備を進めています。尾石さんに、SNSによって起きた自身の変化について聞きます。

キャリアに悩み「会社以外のこと」を始めてみた

編集部(以下、略)―― 尾石さんが最初にSNSを始めたのは2018年、意外と最近なんですね。そもそもSNSを始めたきっかけはどんなことでしたか?

尾石晴さん(以下、敬称略) 次男の育休中に働く女性のオンラインコミュニティに参加し、メンバーからブログを勧められたのがきっかけです。それまでFacebookのアカウントは持っていたけど投稿したこともないし、InstagramもTwitterも使っていませんでした。最初は「ブログ?」と思ったけど、試しに始めてみたんです。

―― その方はどういう理由でブログを勧めたんですか?

尾石 ブログを書くと自分の考え方が整理できると言われました。会社以外で知らない人に自分の考えを言う機会ってないし、自分の考えを書くと、人からフィードバックが返ってきて、人とのつながりができる。しかもお金もかからない。自分の思考を言語化するのにいいと言われて、その場にいた20人が全員、ブログを始めました。

尾石晴さん(40歳)
尾石晴さん(40歳)
大学卒業後、外資系メーカー勤務。不妊治療を経て32歳、36歳で出産。ワンオペ育児をしながら2018年、ブログを開始。19年から始めたVoicyで人気に火が付きフォロワー5万人超に。20年4月、16年間勤めた企業を退社。現在はVoicyなどの情報発信業、ヨガスタジオ運営、不動産賃貸業のパラレルワークを実行中。21年、『ワーママはるのライフシフト習慣術』(フォレスト出版)など著作も出版。

―― それまではSNSとは縁がなかったんですね。

尾石 自分が書けるともしゃべれるとも思っていなかったし、日々の生活に忙しくて時間もなかった。外資系企業に勤めていたので、このまま定年まで働けばそこそこの収入はもらえるし、キャリアも形成できると思っていた。だから発信する動機がなかったんですよね。でも長男を産んだ育休明けぐらいから長時間労働が難しくなり、社内でのキャリアビジョンが描けなくなった。2人目出産後からは転勤もできないので、出世意欲も無くなってきた。第2子の育休中に働く女性のキャリアを考えるコミュニティに参加するようになって、会社以外の可能性に気づかされ、動き始めました。

―― ブログで何を発信するかについてはどのような方針で決めましたか?