業績が好調なのに早期退職者を募集する企業が増えています。社内評価が高くても、事業転換や人員構成見直しのために退職を促されることが珍しくない時代。主なターゲットは45歳以上のARIA世代です。突然訪れるそのときに会社を去るにせよ残るにせよ、納得いく判断ができる人には、共通して日ごろの備えがありました。取材したARIA世代の実例を基にお伝えします。

のるかそるか、早期退職。~45歳の地図~

 「新卒から26年間、ずっと同じ会社で働いていました。まさか自分が早期退職制度を使うとは思っていませんでした。でも、50歳を前に、定年までこの会社で働き続けるイメージが湧かなくなったんです」――そう話すのは、柏木博美さん(仮名)。

 小売業界の大手企業で、40歳から7年部長職に就いていたが、48歳のとき、早期退職に応募した。そして、管理職としての実績と歩んできたキャリアが生む自信を武器に、ペットショップを運営する中小企業に転職。現在は、執行役員として、店舗運営から企画まで幅広い部門をマネジメントしている。

柏木博美さん(仮名)
【ライフスタイル】シングル
【以前の業種/職種】小売り/リテールの営業部門の部長職
【早期退職応募時の年齢】48歳
【早期退職の優遇条件】退職金に年収約4年分を上乗せ(年齢や役職で異なる)
【通達から退職までの期間】約4カ月
【現在の職業】ペットショップ会社 執行役員

 柏木さんは早期退職制度に応募した後、有給休暇を消化する3カ月半を使って、次の仕事を探し始めた。こだわったのは、これまでの経験が生かせる仕事であることと年収維持だった。

 48歳で初めて挑戦したという転職活動は、最初からうまく行ったワケではない。職務経歴書を書くときの工夫、書類選考で落ち続けたときの覚悟、生活コストを下げないために譲れなかった条件、年収約4年分の上乗せ退職金の使い道、退職前にやっておいてよかったこと……。柏木さんが希望どおりの新しい仕事を得るまでのプロセスを聞いた。

柏木さんは、直属の上司や同僚には相談せず、退職を決めたという。退職を決めてから約4カ月の間、どんな準備を行ったのかは、2ページ目以降に
26年のキャリアを持ち、人生初の転職活動に挑んだ柏木さんが教えてくれた「退職前にやっておいてよかったこと」は、会社で働くすべての人に役立つノウハウだ