- (1)「黒字企業で評価A」のあなたも早期退職の対象になる訳
- (2)早期退職した人/40歳で戦略的に製薬→スタートアップ
- (3)早期退職した人/IT企業で27年 家族を残し語学留学
- (4)早期退職した人/48歳営業部長が年収維持で中小役員
- (5)早期退職で残った人/「何を貢献できるか」考え続けた ←今回はココ
- (6)「早期退職のお金不安」損しない知識を専門家が徹底解説
今回の早期退職特集では、退職を募集するタイミングで社外に出ることを選んだARIA世代の3人のケースを紹介してきた。同じようなキャリア転換を考えている人には、参考できる点が多くあっただろう。
その一方で、早期退職が募集されても、家族の事情や経済的な理由などから、「会社を辞める」という判断をしない人、できない人もいるだろう。この場合は、日ごろからどんな備えをしていればいいのか。
今回登場する、ノーリツ鋼機で長年財務・経理を担当してきた形部由貴子さん(49歳)も、会社に残る判断をした一人だ。ペン先部材の製造や医療データ分析事業など多様な事業会社を子会社に持つ同社は、東京・麻布に本社を置く。現在、執行役員・経営管理本部長として活躍する形部さんは、生まれ育った和歌山の有力企業であるノーリツ鋼機が成長して上場を迎えた日も、会社の主力事業が縮小して初めて早期退職が募られたときも、会社が大胆にビジネスモデルを転換していく過程も、全て財務・経理という仕事を通して会社を見つめて、共に歩んできた。
時代の流れとともに会社を取り巻く環境が激変するなかで、形部さんはなぜ会社に残り続けてきたのか、そして会社からも必要とされてきたのはなぜか。何を意識して普段から仕事をしてきたのか。形部さんのキャリアヒストリーをたどりつつ、次ページから答えを見つけていく。