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キャリアの夏休み

フルタイム卒業宣言!前社長が気づいた「やるべきこと」

伊藤久美 判断する軸は「WHY ME?」。私でなければいけないことしかやらない、と決めたら今の仕事を手放せた


目の前の仕事やプライベートのあれこれに忙しくて、人生のこれからを考える余裕なんてない。40~50代はそんな状態のままで過ごしてしまいがちな年代です。でも、自分の未来は自分でつくるもの。忙しさを言い訳にせず、自分を見つめ直す時間の「枠取り」をして、80歳まで現役で生きられるような成長戦略を描きませんか。人生の折り返し地点で「キャリアの夏休み」を取得した人たちに話を聞きました。

キャリアの夏休み

 2022年2月末をもって、長年続けてきたフルタイム&フルコミットな働き方をやめた伊藤久美さん。IBMやGEヘルスケア・ジャパンなどで要職を歴任、18年からはベンチャー企業の社長を務めていた華々しい経歴ですが、社長を退任してキャリアを一旦停止し、SNSで「フルタイム勤務卒業」宣言をしました。その理由とは?

伊藤久美(いとう・くみ)
伊藤久美(いとう・くみ)
1964年生まれ。筑波大学卒業後、87年、ソニー(当時)に入社し、経営企画、マーケティング業務に従事。98年、日本アイ・ビー・エムに入社し、戦略コンサルティング部門で新規事業やマーケティングを中心にコンサルティングに従事。米国本社の経営戦略部門のディレクターなどを経て、2014年、GEヘルスケア・ジャパンのチーフ・マーケティング・オフィサー。16年、4U Lifecareの取締役最高執行責任者として経営に参画、18年から22年2月まで代表取締役社長を務めた。プライベートでは、ジャズシンガーとしての顔も持つ

社長に社外取、大学理事…今本当にやりたいことは何?

編集部(以下、略) 伊藤久美さんには、ARIAで以前に起業家としてインタビューさせていただきました『伊藤久美 外資を辞めて1年間休むはずが創業メンバーに』)。あれから3年。今年2月に社長を退任し「フルタイム勤務卒業」宣言をしたのには、どのような理由があったのでしょうか。

伊藤久美さん(以下、伊藤) ウェブメディアBusiness Insider Japanの統括編集長だった浜田敬子さんが「ジャーナリストの仕事に専念したい」とフリー宣言して21年1月に退任されたのが私の心の中にずっとあって、社内の調整や会社経営に関するお金や書類にまつわる仕事は、本当に私がやりたいことじゃないなあ、浜田さんのようにやるべきことに集中するっていいよな、と以前から思っていました。

 私は2018年からヘルスケア分野のベンチャー企業4U Lifecareの社長を務めながら、1社の社外取締役、社団法人の理事、立命館大学の客員教授、筑波大学の非常勤講師を兼任していました。新型コロナウイルスがまん延してから本業でいくつかの大きなプロジェクトが始まったことに加え、社外取締役が2社増え、JST(国立研究開発法人科学技術振興機構)のアドバイザーなど、お声がけいただいて受けた仕事が重なり、気づいたら山のようになっていました。

 4U Lifecareは創業直後から参画して、わが子のように育ててきた会社で、20年にエネルギー関連のサービス事業を主軸とするユニファイド・サービスの子会社になりました。経営基盤も安定して、夢にまで見た単黒(単月黒字)を実現できたときには涙が出ました。3期連続黒字が見えてきた頃に筑波大学の理事のお話がきて、「私でなくてはできない仕事」はなんだろう、と改めて考え込んだんです。

 自分の会社はかわいいし、大切。でも(子会社になってからは)自分じゃなくてもよい仕事がどんどん増えてきた。一方、社外取締役や大学理事の仕事では「確かにこの視点を入れるとしたら私かも」と思う局面が多い。社員の皆さんや学生さんにとって良いことはなんだろう、という視点から考えることのやりがいも強い。自分の人生に残された限りある時間を何に使うのかと考えたときに、もう本当に「ケシ粒」のように小さくていいから日本の未来のために使っていきたいと思うようになったんです。フルタイムの仕事をやめて一旦区切りをつけて、自分に何ができるのか、どんな「ケシ粒貢献」ができるのか考えていきたいと思って今回の決断に至りました。

―― フルタイムの仕事はやめたけれど、社外取締役や国立大学の理事などその他の業務は引き続き担っていくということですね。お忙しそうですが、ゆっくり考える時間はつくれましたか?

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