目の前の仕事やプライベートのあれこれに忙しくて、人生のこれからを考える余裕なんてない。40~50代はそんな状態のままで過ごしてしまいがちな年代です。でも、自分の未来は自分でつくるもの。忙しさを言い訳にせず、自分を見つめ直す時間の「枠取り」をして、80歳まで現役で生きられるような成長戦略を描きませんか。人生の折り返し地点で「キャリアの夏休み」を取得した人たちに話を聞きました。

 ボイスメディアVoicyのパーソナリティーとして9万人のフォロワーを持ち、 “戦略的サバティカルタイム”について著書を出したばかりの“ワーママはる”こと尾石晴さん。第2の仕事人生を模索するために、16年間勤めた外資系企業の管理職を2020年4月に辞め、自主的なサバティカルタイム(長期間勤務した人に与えられる長期休暇)に突入。そのプロセスと考察をリアルタイムで発信し、共感を呼びました。「たった2年で人生が大きく変わった」という尾石さんに、サバティカルタイムの過ごし方と心得を聞きました。

編集部(以下、略) 2年間を「使途用途を決めない時間=サバティカルタイム」にしたと著書にありましたが、そもそも、なぜ勤めていた会社を辞めてまで自主的にサバティカルタイムを取ろうと思ったのですか?

尾石晴さん(以下、尾石) 仕事は割と好きなほうでしたが、2人目の子どもを産んでから、どう捻出しても1日に1時間半しか自分の時間が取れなくなり、仕事でも今の業務が将来につながると感じられなくなっていました。少なくとも今後10年は子育てに追われる中で、80歳までの職業人生をどう生きるか。この悩みを言語化する目的で、18年ごろからSNSで発信を始めたんです。

Voicy「学びの引き出しはるラジオ」のパーソナリティー、尾石晴さん。16年間勤めた外資系メーカーを2020年4月に退社。第2の仕事人生を模索して、情報発信業、不動産賃貸業を営みつつ、ヨガスタジオ「ポスパムfukuokaスタジオ」、ちつケア用品ブランド「soin(ソワン)」を設立。22年4月、国立大学大学院に進学。近著に『サバティカルタイム「40歳の壁」を越える戦略的休暇のすすめ~FIREではなく働き続ける生き方』(Kindle版)
Voicy「学びの引き出しはるラジオ」のパーソナリティー、尾石晴さん。16年間勤めた外資系メーカーを2020年4月に退社。第2の仕事人生を模索して、情報発信業、不動産賃貸業を営みつつ、ヨガスタジオ「ポスパムfukuokaスタジオ」、ちつケア用品ブランド「soin(ソワン)」を設立。22年4月、国立大学大学院に進学。近著に『サバティカルタイム「40歳の壁」を越える戦略的休暇のすすめ~FIREではなく働き続ける生き方』(Kindle版)

「やりたいことリスト100」を毎年、更新していったら…

尾石 一方で、毎年手帳に書いていた「やりたいこと100」のリストは、時間がなくてできないことが、どんどんたまっていきました。子どもには「自分のやりたいことを見つけなさい」と言っているのに、自分はできてない。だったら、体力と知力と好奇心があるうちにやろう。やるなら「今しかない」と、徐々に会社を辞める覚悟が決まりました。

 100のリストは9年間、更新しながらブラッシュアップしていました。言葉にするとやりたいことの輪郭がはっきりしてくる。それがたまったときが、サバティカルタイムを取るタイミングなんだと思います。

―― 会社を辞める前に準備したことはありますか?