仕事人生以外の人生を豊かにしてくれるのは、自分が持っているコミュニティです。会社を卒業したら毎日何をする? 将来、誰かの助けが必要になったら? 災害時の備えは? 頼れるのは遠くの親戚より近くの他人。40代から地元にコミュニティを築く方法を考えます。

 自分の興味がある活動や、経験や知識を生かせる地域のコミュニティに参加できれば、地元の人とのつながりを楽しく継続的に持てるだろう。地域コミュニティの活動を応援している、世田谷コミュニティ財団代表理事の水谷衣里さんと、同財団の活動にプロボノとして参加する伊藤祐二さんに、具体的な取り組みや自分に合う活動を見つけるヒントについて聞いた。

コロナ禍で再認識「地域とのつながりの薄さ」

編集部(以下、略) コロナ禍で働き方や生活スタイルが変わったことで、地域のコミュニティ活動への関心は高まっていると感じますか?

水谷衣里さん(以下、水谷) 感じますね。そもそも東京などの大都市には他地域から流入してくる人が多いです。しかしほとんどの人は、地域につながるきっかけを持てずにいるようです。特にこれまでは、ビジネスパーソンは都心に働きに出て家には寝るために帰ってくるだけ、という人が多かったのではないでしょうか。

 子どもが生まれれば地元につながりができるかというと、そうとも限りません。現役の子育て・共働き世帯の多くは時間に追われているでしょうし、困りごとに直面して初めて、地域につながりがないと気づくのが実情だと思います。

 そんな希薄な関係ではもったいないなと思っている人が潜在的に増えていたところに、コロナ禍で地域で過ごす時間が増え、いよいよ地域とのつながりを表立って求める時代がきたのかなと感じます。

 仕事で培った自分の知識やスキルを生かして、ボランティアやプロボノをしたいと考える人も増えています。ただ、小さな町ならどこにニーズがあるのか自然に分かるかもしれませんが、都市部だとそれは難しい。

 助けてほしい、参加者の間口を広げたいと思っているコミュニティ側のニーズと、何か役に立ちたいと思う人をつなぎ、民間の立場からコミュニティを応援するのが私たちの役割です。

―― 世田谷コミュニティ財団のような組織は全国でもまだ珍しいですよね。自分の地元で、どうすれば情報を手に入れられるでしょうか。

オンラインセミナーと実際の活動との間をつなぐステップ2とは? 次ページで紹介します
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