信友 2012年、母が83歳の頃ですね。何か忘れっぽくなったり、それを隠そうとしたり。隠すなら、と撮影をやめたら、今度は母が「あんたは最近カメラを回しよらんけど、私がおかしゅうなったけん回さんのかね」って言い出したりして。これは、知らんふりをして普通に撮影してたほうがいいんだな、と思ってカメラを回し続けました。

本当はすぐに認知症だと診断してもらいたかった

―― 親が認知症かもしれない、と気づいたときはどんな気持ちに?

信友 ショックでしたね。でも、まずは確かめなくちゃと思って。私は一人っ子なので親を見る責任がありますから。その年に初めて近くの病院へ連れて行きました。でも、結果からいうと診てもらうのが少し早すぎた。母は頑張っちゃって、認知症かどうかを調べる長谷川式という検査で30問中29問も正解。問題なしと診断されました。

 本当は、認知症という判断が出て、すぐに薬を飲み始めてもらいたかったんです。認知症については取材をしたことがあって、早めに薬を飲ませられれば進行を遅らせることができると知っていたから。でも、そのときはMRIでも脳の萎縮が見られなかったので、つまり認知症の初期症状に関する私の知識があったために、病院に行くのが早過ぎたということなんでしょうね。「認知症じゃなかったよ」って言ったら、母も父も「そうじゃろうと思ったよ」ってすごく喜びました。