受験勉強を経験して、頭の中の扉が増えた

―― 知的好奇心が刺激され、新しい扉がどんどん開かれているのですね。

真矢 勉強して分かったことですが、一つ学ぶと、また次の扉を開けたくなるんです。旅行の楽しみ方も広がりました。例えば、アフリカ旅行で「人類発祥の地」といわれる大地溝帯の場所を訪れた時には、地理で学んだ知識と照らし合わせて「ここが地球の裂け目なのか!」と実感したり、保護地区で見た野生動物たちの行動の理由が分かることで、観察の仕方も変わってくる。

 単に、「きれい」「楽しい」だけの感想ではなく、知識と結び付くことで、心により深く刻み込まれる感じがします。歴史も地理も、今、自分が生きている世界と地続きなんだなと分かると楽しくなりますね。

 受験勉強を経験したことで、頭の中に今までなかった扉や箱のようなものが増えた気がしているんです。以前は、数字も苦手で頭に入らず、つるっとしたボードに書いてはすぐ消えていく感覚があったけれど、今はきちんと刻印されていく感じがします。人って、いくつになっても進化するものなんですね。

50代の今が、学びのベストタイミングだった

―― 新しい学びにトライしてみたいけれど、一歩踏み出すことにためらっている40~50代のARIA世代も少なくありません。真矢さんのように、アクセルをグッと踏み込む秘訣を教えてください。

真矢 私の場合、宝塚時代にできなかった勉強を大人になって継ぎ足したわけですが、家庭の事情や仕事の状況でどうしても学べないときってあると思います。仕事をしていると「今は、この仕事にまい進するべき」という攻める時期もありますよね。私自身も、そうした勘には従うようにしてきました。ですから、やりたい気持ちが高まって「今だ!」と感じる時が、自分にとって踏み出すタイミングなんじゃないかと思います。

「『今だ!』を逃さないように、チャンスのにおいに敏感でいたいと思っています」

 私にとっては、50代の今が、学びのベストタイミングだったんじゃないかな。40代で知的好奇心が膨らみ、50代で得た学びによって、これまでの経験がつながって立体的になるような感覚があり、受験後も、学びの意欲はどんどん増している。

 もちろん、まだ知らないことも山ほどあって、私の人生はまだ「穴ぼこ」だらけですよ。だから、学びはずっと継続していきたい。自分の興味があることに特化したセミナーにも通ってみたい。これからももっと、未開の扉を開け続けたいですね。

取材・文/西尾英子 写真/稲垣純也 スタイリング/佐々木敦子 ヘアメイク/小澤久美子 構成/長野洋子(日経ARIA編集部) 衣装:PINKO/PINKO JAPAN、アクセサリー:NINA RICCI/エスジェイ ジュエリー

真矢ミキ(まやみき)
真矢ミキ(まやみき) 元宝塚歌劇団花組男役トップスター。1995年『エデンの東』でトップに就任。以降、宝塚史上初である篠山紀信氏による男役の写真集や武道館コンサートを成功させるなど、独自のアイデアや今までにない自由な発想で異端性を存分に発揮し「宝塚の革命児」といわれる。1998年に宝塚歌劇団を退団し、女優として活躍。2015年3月から朝の情報番組『ビビット』(TBS系)でMC担当。現在、テレビ東京系列のドラマBiz『スパイラル〜町工場の奇跡〜』に出演中。